肺がん、転移性肺がんに対するラジオ波焼灼療法


肺がん治療ネット
質問先 最上拓児医師


画像ガイドによる肺腫瘍(肺がん、転移性肺がん)に対する経皮的ラジオ波焼灼治療

東京慈恵会医科大学附属柏病院放射線部
最上拓児

 近年、人口の高齢化と共に悪性腫瘍の発生頻度は増加の一途にある。それに伴い原発性および転移性肺癌(肺がん)の発生頻度も例外ではなく、癌死の原因の上位を占めるようになってきている。肺癌(肺がん)に対する根治的治療法として切除術が行われているが、症例の増加に伴い低肺機能や過去の開胸手術のため、切除困難な症例も多くみられるようになってきている。このような症例に対しては、化学療法や放射線治療が行われているが必ずしも十分な治療効果が得られているとは言いがたい。
 ラジオ波焼灼治療(Radiofreequency Ablation:RFA)はラジオ波により発生する高熱により病変部を凝固壊死させる治療法であり、従来の化学療法や放射線治療とは全く異なる機序に基づく治療法として各種悪性腫瘍に対して応用されている。なかでも肝腫瘍に対するRFAはその臨床的有用性が多数報告されており、現在すでに日常診療において広く実施されている。
 一方、肺腫瘍(肺がん、転移性肺がん)ではその周囲を熱伝導率の低い空気に囲まれており、ラジオ波により発生した熱が局所に留まり周囲肺実質への影響が限局的で焼灼治療に適していると考えられ、実験的に臨床応用の可能性が示唆された。本邦でも近年、実際に肺腫瘍(肺がん、転移性肺がん)に対し経皮的ラジオ波焼灼治療が行われ、その有用性も報告されてきている。
 以上のような背景より、低侵襲的で有効性が期待される肺腫瘍(肺がん、転移性肺がん)に対する新たな治療法として、CTガイド下針生検の手技を応用した「画像ガイドによる肺腫瘍に対する経皮的ラジオ波焼灼治療」を計画した。

 当院放射線科では他科との協力のもと、大学倫理委員会の許可の後、この実施計画に従い肺腫瘍に対するCTガイド下ラジオ波焼灼治療を、肺癌(肺がん)4例(原発性肺がん2例、転移性肺がん1例、不明1例)に対し行ってきた。年齢は62から75歳(平均70.8歳)、最大腫瘍径は1.8から3.0cm(平均2.5cm)である。
 治療はCTガイド下に焼灼用LeVeen針を腫瘍(肺がん、転移性肺がん)に穿刺し、2回の焼灼を行った。安全マージン(境界)を確保するため、必要によりLeVeen針の位置を変え、オーバーラップ法により追加焼灼を行った。治療後はCTを中心に評価を行った。
 全例で手技的成功が得られた。経過観察のCTで、1例では腫瘍(肺がん、転移性肺がん)の完全消失が得られた。1例では腫瘍(肺がん、転移性肺がん)辺縁部に軽度の造影効果を認め、残存腫瘍(肺がん、転移性肺がん)が疑われた。合併症として、発熱1例、気胸2例、縦隔気腫1例がみられたが、すべて軽度のものであり、保存的に消失した。
 肺腫瘍(肺がん、転移性肺がん)に対するCTガイド下ラジオ波焼灼治療は安全で有効な治療法であり、今後症例を重ね、長期においての経過観察を行っていく予定である。


ラジオ波焼灼装置

RF 2000: Boston Scientific
LeVeen (1617G)

症例
70歳代、男性、腺癌
ラジオ波焼灼前
ラジオ波焼灼直後
ラジオ波焼灼直後治療後経過
1週間後 1ヵ月後

4ヵ月後


2005.8