特異的癌免疫療法

東京慈恵会医科大学


肺癌の治療研究は終了しました。

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臨床研究題名

樹状細胞と癌細胞の融合細胞を用いた特異的癌免疫療法の開発

はじめに

新しく開発された薬や治療法を多くの患者さんに使えるようにするためには、その薬や治療法がヒトにとって安全であること、及び患者さんの疾患の治療に有効であることを確認した上で、厚生省の委員会で十分に審議されて、厚生省から承認を受ける必要があります。その承認を得るために、患者さんに新しい薬や治療法を用いた時の安全性と有効性を確認するための試験を「臨床試験」と呼びます。従って、臨床試験は新しい薬や治療法が広く普及するか否かを決定する大切な試験です。

本癌免疫療法の目的

従来より癌の治療法として、外科手術療法、抗癌剤を用いた化学療法、放射線療法が広く普及し、多くの癌患者さんの治療に貢献してきました。また、近年の医学の進歩にともない、新しい有効な癌治療法が次々と開発され、患者さんの5年生存率も年々上昇してきています。しかし、癌という病気の性格上、どうしても従来の治療法では満足できる治療効果があげられない例も少なくありません。また、従来の治療法でかなりの効果をあげることができても、一定時間後に不幸にして再発を認める例もあります。また、癌が発見された時には思いのほか病状が進行してしまっていて、従来の治療法が施行できないばかりでなく、かえってその副作用に苦しむだけの結果に終わりかねない例もあります。そのような病気の進んでしまった患者さんや、再発が確実で毎日不安に過ごされている患者さんに対して、有効で、かつ、副作用の少ない治療法を行い、なんとか病状を好転させていただく必要があります。

癌免疫療法はかつてかなりの期待を集めた時期がありました。自分自身の免疫の力で癌を克服し、薬や放射線による副作用の心配もないことから、進行した患者さんや、再発した患者さんを中心に試みられました。しかし、残念ながら有効な治療効果をあげた例は少なく、癌免疫療法は次第に用いられなくなりました。自分自身の細胞から発生した癌細胞を、自分の免疫の力で退治できるのかという医師側の疑問もありました。しかし、1990年代にはいって、癌免疫療法に革命的な変化が訪れました。分子生物学の発展により、癌細胞にも細菌やウイルスと同様の抗原性があることが証明されました。すなわち、体の中の免疫の力が癌細胞の抗原を「異物」として認識して、これを排除することができるということが科学的に証明されたのです。癌細胞は巧妙に自分自身を攻撃する免疫ら逃れる仕組を持っていることもはっきりしました。いままで癌免疫療法がいま一つ有効な効果をあげえなかったのは、この癌細胞だけが持つ抗原を目標とした、癌「特異的」な免疫療法ができなかったことが大きな原因としてあげられます。体全体の免疫力を人工的に増強させても、癌細胞の抗原を認識し、癌細胞を専門に退治してくれる免疫力を集中的に増強させることができなかったのです。癌抗原の発見と、その治療への応用は、細菌やウイルスに対する免疫のように、免疫の力で癌細胞を倒すという可能性を開かせてくれました。

今回、私たちの紹介する癌免疫療法はこの癌細胞の持つ癌抗原を目標として治療する「特異的」な癌免疫療法です。そのために患者さん体内にある樹状細胞という特別な免疫細胞と、患者さん自身の癌細胞を利用します。樹状細胞とは抗原提示細胞と呼ばれる免疫にとって非常に重要な細胞で、皮下を中心に体全体に分布しています。この細胞は、細菌やウイルスなど生体にとっての異物をいち早く認識して、それらの持つ特性、すなわち抗原性をリンパ球に伝える働きをします。樹状細胞から抗原提示を受け、その抗原を識別、認識できるようになったリンパ球は、その抗原を持つ細菌やウイルス、そして癌細胞でさえも攻撃して殺してしまいます。このような意味で、癌細胞の持つ抗原と、それをリンパ球に伝える樹状細胞が、癌免疫療法にとっては非常に重要な要素となるのです。このようなことが科学的にはっきりと証明されてきたのは、最近2-3 年の間にすぎません。
癌細胞の持つ抗原性は人によって非常に多様です。ひとつは主要組織適合抗原という、個々の人のもつ遺伝的素因により決定されます。また、癌抗原が複数だったり、遺伝子の変異のために、その人だけの固有の癌抗原もあります。こうようなひとりひとりの患者さんにより異なる、種々の癌抗原に対して、特異的にリンパ球が認識し攻撃できるようにするために、私たちは樹状細胞と癌細胞の細胞融合法を用いた癌免疫療法を考案しました。
 患者さんの血液から樹状細胞になる前身の細胞をとりだして培養し、サイトカインという薬品で成熟した樹状細胞に育て上げます。手術や検査で採取した癌組織から、癌細胞をとりだし、特殊な方法で樹状細胞と融合させます。この融合細胞は癌抗原を産生すると同時に、その抗原をリンパ球に伝えることができます。この細胞を患者さんの体内に戻してやることにより、リンパ球はこの抗原を認識して、この抗原をもつ癌細胞を攻撃するような能力を与えられます。その結果、からだの中に癌細胞だけを特異的に攻撃するような免疫力が誘導され、癌に対する治療効果を発揮することが期待されるのです。実験動物を使った基礎実験では、体内に戻された融合細胞は癌細胞のように増殖し、体に害を及ぼすようなことはありませんでした。本臨床試験は18名の患者さんに参加していただく予定で、本臨床試験の施行を次の通り計画いたしました。

本臨床試験への参加について

本臨床試験の目的については理解していただけたと思います。臨床試験の性格上、期待どうりの効果が得られなかったり、予測しえない副作用が発生する危険性もあります。このような場合には改善策を検討し、再度チャレンジすることになります。このように臨床試験は新しい治療法の開発には欠かせないものです。そして、そのためには患者さんの理解による参加がなければ、臨床試験は成り立ちません。本臨床試験においては、参加される方々の人権を守るため、以下の事項を基本的原則と致します。
1)本臨床試験への参加は、あくまでもあなたの自由意思に基づいてきめるものです。
2)本臨床試験について説明を受けた後、あなたが試験への参加を拒否されても、あなたの今後の治療において不利益な取扱いを受けることはありません。
3)本臨床試験への参加に同意し、署名、捺印された後においても、あなたの意思に変化が生じた場合、いつでも同意を撤回し、中止することができます。

本臨床試験の概要

1 あなたの病気と癌免疫療法

主治医の先生からお話しのあったとおり、あなたの体内には癌細胞が残っています。いまの状態では、目に見えないような所にも癌細胞が存在する可能性が高く、手術や放射線治療という局所的な治療法では効果に限界があります。また、抗癌剤の効果も主治医の先生の説明にもあったように、芳ばしい効果が期待できません。癌免疫療法は患者さんの免疫力を使って癌を退治する治療法です。癌細胞は体の免疫力から逃れて発育する仕組を持っているため、治療のためには、癌細胞を殺す免疫力を人為的に高める必要があります。癌免疫療法は近年、新しい発見があいつぎ、新しい治療の試みが次々となされています。私たちの試みる方法は、患者さん自身の免疫細胞(樹状細胞)と癌細胞を用いて、患者さんの癌細胞だけを特異的に殺すような免疫力を誘導する方法です。患者さん自身の細胞だけを使用するので、遺伝子を患者さんの体内に入れたり、遺伝子を導入するためのウイルスを使うという、遺伝子治療に伴う心配はありません。

2 樹状細胞と癌免疫の誘導

樹状細胞とは専門的抗原提示細胞と分類される免疫細胞で、体中に分布していますが、特に多い所は皮下です。樹状細胞の働きは細菌やウイルス、またはアレルギーの原因になるような異物が体内に侵入した時に、それらの持つ特性(抗原性)をリンパ球に伝え、リンパ球がその抗原を認識し、反応するように教育することです。従って、樹状細胞は体が免疫反応を起こすための、最も初期の重要な役割を演ずるわけで、多くの細菌や異物に触れる機会の多い皮膚(皮下)に沢山存在します。結核予防のツベルクリンが皮下注射で行われるのも、このような理由からです。近年の分子生物学の発展の結果、癌細胞にも細菌やウイルスのような、体にとって異物として認識される抗原が存在することが明らかにされました。しかし、患者さんの体内に発生して増殖した癌細胞は、樹状細胞のこのような働きを抑える物質を産生し、免疫の力で癌細胞が殺されないような仕組を作り上げているのです。そこで、患者さんから樹状細胞を取り出し、体外で樹状細胞に癌抗原を与え、その樹状細胞を再び患者さんの体に戻すことにより、患者さんの癌細胞だけを攻撃するリンパ球を生みだす新しい治療法が開発されました

3 樹状細胞と癌細胞の融合細胞の作成

癌細胞の持つ癌抗原は種々多様で、患者さんひとりひとりにより異なることが多く、また、一種類とは限りません。従って、今までに発見された一種類の癌抗原だけに反応するような免疫力を誘導する治療法では、その抗原を持たない癌細胞には効果がなく、治療できる患者さんも限られます。この欠点をおぎない、沢山の癌患者さんを治療できるように、樹状細胞と癌細胞を体外で融合し、この融合細胞を患者さんの体内に戻してやる新しい方法がハーバード大学医学部の癌研究所で開発されました。融合細胞はふたつの細胞の機能を合わせ持っています。すなわち、癌抗原を産生するという癌細胞の機能と、リンパ球がその抗原を持つ細胞を殺すように教育する樹状細胞の機能の両方を発揮する細胞となるのです。この細胞を使えば、仮に癌抗原が複数で稀なものであっても、その患者さんに適応した、いわばオーダーメイドの治療ができる可能性があります。樹状細胞と癌細胞の融合細胞の作成方法は、ポリエチレングリコールという薬剤を用います。細胞膜を軟らかくして、2種類の細胞を融合させます。それぞれの細胞の核と、その中の遺伝子は保たれるため、ひとつの細胞がふたつの細胞の機能を発揮します。この融合細胞は人工的に作られた細胞のためか、動物実験では癌細胞のように増殖はしませんでした。しかし、患者さんの体内に戻す際は、念のため融合細胞に放射線照射を行います。この処理により融合細胞の増殖能は完全に失われますが、癌抗原をリンパ球に提示する能力は充分保たれます。また、融合しそこねた癌細胞は、ソーテイングという方法で患者さんの体に戻す前に除かれますが、放射線照射によりわずかに混入したかもしれない癌細胞の増殖能も完全に奪います。

4 本臨床試験の進め方

この治療法の施行にあったては、患者さんの癌細胞が採取され、細胞融合に使用可能な状態となっている必要があります。そのため、本臨床試験に同意していただいた患者さんから、手術または生検により癌組織が採取され、癌細胞が生きたまま保存されている必要があります。また、腹水や胸水から癌細胞が比較的容易に採取できる患者さんは、樹状細胞と融合する直前に癌細胞を採取します。
 患者さんの前腕の静脈より20 から50 cc の血液を通常どうりの方法で採血します。この血液の中にある白血球を分離し、付着性の強い白血球細胞のみを採取します。そして、GM-CSF, IL-4という白血球やリンパ球を増殖させたり、種々の機能を発現させたりする物質(もともとヒトの体内にあるサイトカインという微量物質)を加えて7 -10 日間培養します。その際、培養には患者さん自身の血清を10% 加えた培養液を使用し、異種の抗原には一切触れさせないように行います。成熟した樹状細胞が得られたら、ポリエチレングリコールを用いて癌細胞と融合させます。一晩培養した後、樹状細胞や融合細胞のみに反応し、癌細胞とは反応しない抗体を使用したソーテイングという方法を用いて、融合しなかった癌細胞を除きます。融合細胞に放射線照射を施行した後、3から5 cc 前後の生理食塩水に融合細胞を混ぜて、患者さんの皮下に注射します (注射部位はリンパ腺の多いそけい部などが考えられます。)
 投与する融合細胞は少量より開始し、投与回数も2回から始める予定です。副作用の有無を観察しながら、3人づつの患者さんで投与する融合細胞の量と、回数を増やしていきます(下表)。従って、容量によっては効果が得られない場合もあり、また、副作用が現われる場合もあります。この点御理解ください。
 以下のようなプロトコールに則るため、週1回の樹状細胞採取用の採血が必要です。また、使用する癌細胞に不足が生じた場合、癌細胞採取のための針生検や腹水、胸水採取が必要になりますので、この点御理解下さい。

  融合細胞の投与量 投与回数
レベル1(3名) 104
レベル2(3名) 104
レベル3(3名)  105
レベル4(3名)   105
レベル5(3名) 106
レベル6(3名) 106
*104とは10,000ヶ、105は104の10倍という意味です。

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5 期待される効果

本臨床研究においては、本免疫療法の安全性と有効性を検討することが目的です。期待される臨床効果として、以下のものがあげられます。

1)外科手術で、非治癒切除に終わった癌患者さんの再発抑制および再発防止。

一般的に癌免疫療法は、目に見えないような小さな転移や、正常組織に散らばった癌細胞を殺す効果が高いといわれています。そのような意味から、癌病巣を完全に切除しきれず、再発が必須と考えられる癌患者さんに対し、再発を可及的に遅らせるか、または、完全に再発を防止する効果が考えられます。

2)既存の癌治療が無効または施行不可能で、病状の進行しつつある癌に対する治療。

癌病巣の縮少、消失。自覚症状の改善。日常生活の質の向上などが期待されます。

3)末期進行癌に対する治療。

疼痛、食思不振などの自覚症状の改善。腹水、胸水などのコントロール。延命効果。日常生活の質の向上と、入院治療から外来治療への切り替え可能などが期待されます。

6 安全性について

1)樹状細胞培養に用いる試薬(サイトカイン)の混入

血液中の白血球を培養して、樹状細胞を育てるためにGM-CSFとIL-4という試薬を使用します。これらはサイトカインと呼ばれ、本来われわれの体の中に微量存在する物質ですが、強い免疫修飾作用を示します。その結果、このような物質が患者さんの体内に混入すると、発熱などの原因になりかねません。このような点から、融合細胞は患者さんに投与される前に、これらの物質の混入を防ぐため充分洗浄されます。従って、このような物質が患者さんに影響する可能性は極めて低いと考えられます。万一混入しても、量的には1 グラムの10 億分の1のレベルの微量で、その効果は弱く、一時的と考えられます。

2)融合細胞の細菌汚染、ウイルス感染

樹状細胞は7から10 日間実験室で培養された後、癌細胞との融合細胞となって患者さんの体内に戻されます。この培養期間の間に、培養細胞が細菌で汚染されたり、ウイルス感染を起こしたりすると、患者さんにも感染が生ずる危険性があります。これを防止するために、細胞の培養や細胞融合は、他との交流を制限した、患者さんの細胞培養専用の部屋を作製して行います。また、患者さんへ融合細胞を投与する前に、細菌の感染や細菌の毒素の混入がないかどうか検査が行われます。

3)免疫反応に伴う症状の出現

免疫の力で癌細胞を殺すときに,免疫反応特有の生体の変化が現れる可能性があります.リンパ球が癌細胞を認識して殺す時に,何種類かのサイトカインと呼ばれる物質がリンパ球より放出されます.この物質は癌細胞を殺すために非常に重要な働きをしますが,同時に体には発熱,悪寒,気分不快,腫瘍部分の熱感というような症状を現す可能性があります.癌組織に炎症を起こさせるため生ずる反応であると解釈できます.発熱などが顕著の時は必要に応じて解熱剤などで治療されます.

4)融合細胞増殖による副作用

樹状細胞と癌細胞の融合細胞は人工的に作られた不自然な細胞のため、一定期間生存してリンパ球に抗原提示をした後、死滅すると考えられます。動物実験の結果では、融合細胞は癌のように増殖して腫瘍を形成したりすることはありませんでした。しかし、個々の患者さんでは癌細胞の悪性度や増殖力は様々であり、予期しないような増殖が絶対ないとは言い切れません。患者さんの体に戻された融合細胞が、あたかも癌細胞のように増殖することが無いように、融合細胞は患者さんに戻される前に充分な放射線照射を行うことにより、増殖力を喪失した状態にします。増殖しなくても体内での癌免疫誘導のための効果は殆ど影響をうけません。

5)未融合癌細胞の混入

ポリエチレングリコールを用いて樹状細胞と癌細胞を融合させますが,全部の細胞を残らず融合できるわけではありません.融合せずに残った癌細胞が患者さんの体内に戻されると,結果的に不利益が生ずる可能性があります.そこで,未融合の癌細胞は磁気細胞ソーテイングという方法を用いて可及的に取り除きます.それでも万一少数の癌細胞が残らないように,患者さんの体内に戻す細胞は全部放射線照射で処理されます.これにより,万一僅かの癌細胞が混入しても,その癌細胞がどんどん増殖するような可能性は殆ど有りません.

6)正常臓器に対する免疫反応
癌細胞は特有の癌抗原を有しており,その抗原を標的としてリンパ球が癌細胞を認識し,これを殺します.しかし,癌細胞の有する抗原性は,その癌の発生した臓器の正常細胞とかなり共通している物もある可能性があります.その結果,免疫の働きで癌細胞を殺すと同時に,その癌の発生した正常臓器も同じ免疫の働きで障害される可能性が考えられます.これを自己免疫現象の誘導といいます。実際の癌患者さんに、正常組織まで障害してしまうような強い自己免疫現象が起こるという科学的な証明は今のところありませんが,動物実験の結果などより念頭に入れておくべき事項と考えられます.患者さんにもしこのような現象が認められれば,正常臓器のみならず癌組織も強く障害されていることが考えられます.癌に対する治療効果や正常臓器の障害度を総合判断して,必要であればステロイド剤のような免疫抑制剤が使用される可能性があります.

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7 本臨床試験に参加できる患者さんについて

不治の病といわれてきた癌に対して,いろいろな治療法が開発されてきましたが,患者さんのそれぞれの癌の種類や進行状況を判断し,個々の患者さんに最適と考えられる治療法が選ばれる必要があります.本臨床試験の対象となる患者さんの選択基準の原則は,以下の二つです.
1)確立された既存の癌治療法を受け,その効果が不十分,不確実と考えられ,病状が進行しつつある方 
2)何らかの理由により既存の癌治療法がすべて施行不能,または,病状の進行度などより判断して,既存の癌治療法の適応のない(進行例,末期例などの)方.
従って,他の確立された癌治療法の適応のある患者さんが,それらの治療を受けずに,最初にこの治療法を受けることは原則としてありません.
 本臨床試験に登録される患者さんは,担当医師により選定され,その後責任医師により症例の確認が行われます.更に下記の判断基準への適合の有無を「安全性及び効果評価委員会」で評価され,基準に適合していると評価された症例について医学研究倫理委員会に報告され,承認された方々です.
 そして最終的に,あなたが同意書に署名,捺印をして本臨床試験に参加されることに同意されますと,承認された順番に従って本臨床試験の施行を受けることになります.

判断基準

1,手術療法,化学療法,放射線療法,およびその他の確立された癌治療法の施行を受け,その効果が不十分,不確実で,病状が進行中または将来的に進行が予想されること.
2,何らかの理由により,既存の癌治療法がすべて適応外であると判断されること.
3,病状の進行度などより,既存の癌治療法は適応外であるが,治療により何らかの有効性,または,ある程度以上の回復の可能性が予想される全身状態であること.
4,何らかの理由により,強い免疫不全状態が存在しないこと.
5,安全,確実に少量の癌組織,または癌細胞の摂取が可能であること.
6,樹状細胞の採取に適した白血球の量と質を有し,週1回20 から50ml の採血が2から4回可能であること.

登録者決定までの過程
症例の選定  担当医師
症例の確認 責任医師
症例の判定 安全性及び効果判定委員会
症例の報告,承認 医学研究倫理委員会
同意説明 担当医師
同意書作成  患者さん,担当医師

8,本臨床試験に参加する患者さんの権利

あなたが本臨床試験への参加に同意された場合,あなたの人権,安全性が守られるように審査委員会が監視いたします.あなたの本臨床試験への参加は,あなたの自由意志により決定されます.その決定は強制されるものではなく,担当医師から話があったから参加を断れないと考える必要はありません.疑問な点が有れば遠慮なく質問していだたき,納得のいかない時はこの治療の実施を拒否することができます.この治療法を選択しなくても,緩和療法という症状を緩和することに重きをおいた治療法を選択することも可能です.あなたが参加することを拒否された場合でも,同意の後に参加を撤回し中止された場合でも,その後の治療においてあなたは何ら不利益を受けることはありません.
 本臨床試験のための処置が終了し,退院した場合,健康状態が良好となり,外出,外泊を許可された場合でも,本臨床試験の評価に影響を及ぼす可能性のある治療を他の医療施設でうけることはできないということを御諒解下さい.なお,不幸なことに死亡された場合は,本臨床試験の効果の確認のために,病理解剖にご協力下さいますようお願い申し上げます.疑問点,気がかりな点は躊躇無く担当医師,看護婦にご相談下さい.

9,プライバシーの保護

あなたの診療記録(カルテ)は東京慈恵会医科大学付属病院で保存,管理し,秘密は厳守されます.本臨床試験の治療に関することは公開を原則としますが,あなたのプライバシーは厳守致します.また,あなたの記録は症例報告として学会で報告されたり,論文として医学雑誌に掲載される場合がありますが,いずれの場合もあなたのプライバシーは守られます.

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