医師用治療情報

悪性胸膜中皮腫 治療

2004年6月最新版(更新日20043月4日)

この情報は主に医師やほかの医療従事者用です。
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治療選択概観

胸膜中皮腫は、限局型胸膜中皮腫を除いて、通常治りません積極的な治療により長期生存する患者さんもいますが、異なる治療法により、もしくは集学的治療法により、全体の生存率が有意に変わるかどうかははっきりしません。初期の患者さんの選択された人に対する胸膜外肺全摘術は、無再発生存期間を改善するかもしれません。しかし、それが総合生存期間にどれだけ寄与するかは、知られていません(1)。胸膜切除や肺剥皮術は、有症状の胸水や、腫瘍による不快感や、浸潤性腫瘍による疼痛を一時的に和らげるかもしれません。胸膜切除や肺剥皮術の手術死亡率は2%未満で(2)、胸膜外肺全摘術の手術死亡率は6%から30%です(13)。外科手術療法に、放射線療法や化学療法や双方を追加しても生存期間は改善しませんでした(2)。胸膜中皮腫に放射線療法を行うと、患者さんの大多数において疼痛が軽減されることが示されました。しかし、症状が改善される期間は短いです(45)。単剤や多剤併用による化学療法の効果が、単独療法や集学的療法で評価されました。最も研究された薬剤はドキソルビシン(doxorubicin)で、評価された患者さんの約15から20%に部分的に奏効しました(6)。小規模の第U相試験で、多剤併用化学療法のいくつかは、高い奏効率を示すと報告されました。しかし、報告された副作用は強く、これらの多剤併用療法で生存期間が延長したり、症状改善期間が延長するという証拠はありません(67)。胸水の再発には、胸膜硬化術が選択される事がありますが、肺を十分に拡張できないためにすでにある胸膜癒着がある大きな腫瘍によって失敗が引き起こされます。

治療を"標準" あるいは "臨床研究中"に分類することは,損害賠償決定のためのものではありません.


限局期悪性胸膜中皮腫 (病期 I)

病期 I: 壁側胸膜の被膜内に限局した胸膜中皮腫、つまり片側の胸膜、肺、心膜、横隔膜

限局型悪性胸膜中皮腫

上記の病期 1参照

この要約における治療を論ずるために、悪性胸膜中皮腫は限局型か進展型のどちらかに分類します。

標準治療選択肢(1

  1. 孤立性胸膜中皮腫広範囲な無病変切除縁を確保するために、周囲構造物を含めた1塊(en bloc )とした外科的切除。最大限の治癒可能性を確保するために無茎ポリープ状病変は外科的切除をするべきです(2)。

  2. 胸腔内胸膜中皮腫
    A. 姑息的外科手術療法(胸膜切除術と肺剥皮術 )で、放射線療法が追加することあり。
    B. 胸膜外肺全摘術
    C. 姑息的放射線療法

臨床評価中治療選択肢

1. 外科手術後の胸腔内化学療法(3,4)。
2. 集学的療法(4,6)。
3. 他の臨床試験。


進行期悪性胸膜中皮腫 (病期 II、III、IV

病期 II 胸腔内(N1またはN2)リンパ節陽性である全ての病期T
病期 III : 下記への局所進展を示す胸膜中皮腫
つまり胸壁か縦隔、心臓や横隔膜や腹膜を貫くもの、胸郭外や対側
( N3 )リンパ節転移の有無は無関係
病期 IV : 遠隔転移のある胸膜中皮腫

進展型悪性胸膜中皮腫

上記の病期 IIIIIIV参照  

この要約における治療を論ずるために、悪性胸膜中皮腫は限局型か進展型のどちらかに分類します。

標準治療選択肢

1. 胸水の排液(drainage:ドレナージ)や、胸部管(胸腔ドレーン:chest tube による胸膜癒着術や、胸腔鏡下胸膜癒着術などの対症療法(1)
2. 選択された患者さんにおける姑息的外科手術療法(2,3)。
3. 姑息的放射線療法(4,5)。
4. 単剤化学療法。ドキソルビシンdoxorubicin、エピルビシンepirubicin、マイトマイシンmitomycin、シクロホスファミドcyclophosphamide、シスプラチンcisplatin、カルボプラチンcarboplatin、イフォスファミドifosfamideでは、部分奏効が報告されました(6-8)。
5. 多剤併用化学療法(臨床評価中)6,7)。
6. 集学的療法の臨床試験(9-13)。
7. 腔内療法。小規模の臨床研究において、胸腔内か腹腔内への化学療法剤(例えば、シスプラチンcisplatin、マイトマイシンmitomycin、シタラビンcytarabine)の投与で、腫瘍径の一時的な縮小と胸水の一時的な制御が報告されています(14-16)。腔内療法の意義を定義するためには、追加研究が必要です。

大きな第3相試験で、治癒目的の外科手術対象外の胸膜中皮腫の患者さんで、化学療法をうけたことのない人で、葉酸拮抗剤のペメトレキセドpemetrexed(アリムタAlimtaLily))  とシスプラチンcisplatinの安全性と有効性が示されました(17)(証拠水準:1iiA).この研究は、ペメトレキセドpemetrexed(アリムタAlimtaLily))(500 mg/m2)とシスプラチンcisplatin (75 mg/m2初日)を、シスプラチンcisplatin単独(75 mg/m2 初日静脈注射、21日毎)と比較しました。全体で456人が参加し、226人がペメトレキセドpemetrexedとシスプラチンcisplatinを投与され、222人がシスプラチンcisplatin単独投与、8人は投与を受けませんでした。117人が参加した後から、副作用を減少させるために葉酸とビタミンB12が加えられました。最初の化学療法が投与される1から3週間前から葉酸 (350-1,000 μg 経口)は毎日与えられ、治療が終了する1から3週間後まで続けられました。最初の化学療法が投与される1から3週間前にビタミンB12(1,000 μg 筋肉注射)は注射され、治療が終了するまで9週間ごとに続けられました。全員の患者は皮膚の発疹を予防するためにデキサメサゾンDexamethasone (4 mg) か同等の力値の副腎皮質ステロイドcorticosteroidを、ペメトレキセドpemetrexed投与の前日、当日、翌日に、12回内服しました.

無作為割付して治療を受けたすべての患者の分析で、ペメトレキセドpemetrexed(アリムタAlimtaLily))  とシスプラチンcisplatinの併用療法は、シスプラチンcisplatin単独療法に比較して有意に生存期間が延長しました。中間生存期間はそれぞれ12.19.3か月(P=.020)でした。ペメトレキセドpemetrexed(アリムタAlimtaLily))  とシスプラチンcisplatinの併用療法と対照療法の患者さんの死亡に対する危険比は0.77でした。進行までの中間期間はペメトレキセドpemetrexed(アリムタAlimtaLily))  とシスプラチンcisplatinの併用療法で有意に長かった(5.73.9か月、P=0.001).併用療法の優位性はビタミン追加亜集団においても示されました。中間生存期間は併用化学療法群とシスプラチンcisplatin単独療法群でそれぞれ13.310.0か月でした(P=0.051).ペメトレキセドpemetrexed(アリムタAlimtaLily))  とシスプラチンcisplatin併用療法の主たる副作用は、骨髄抑制、疲労感、嘔気、嘔吐、呼吸困難です.3から4度の副作用はほとんどは、ビタミン追加で、有効性を損なわず有意に減少することができました.


再発悪性胸膜中皮腫

再発した胸膜中皮腫の治療は、初回治療のとき選択されなかった治療法や、薬物療法を通常施行する。標準の治療方法では、生存期間の延長や長期間症状をコントロールさせる事の証明がされませんでした。これらの患者は、新しい生物学的、化学療法薬剤や外科的治療に対する評価のための、第T相臨床試験、第II相臨床試験のための候補であると考えられます(15).

大きな第3相試験で、治癒目的の外科手術対象外の胸膜中皮腫の患者さんで、化学療法をうけたことのない人で、葉酸拮抗剤のペメトレキセドpemetrexed(アリムタAlimtaLily))  とシスプラチンcisplatinの安全性と有効性が示されました(17)(証拠水準:1iiA).この研究は、ペメトレキセドpemetrexed(アリムタAlimtaLily))(500 mg/m2)とシスプラチンcisplatin (75 mg/m2初日)を、シスプラチンcisplatin単独(75 mg/m2 初日静脈注射、21日毎)と比較しました。全体で456人が参加し、226人がペメトレキセドpemetrexedとシスプラチンcisplatinを投与され、222人がシスプラチンcisplatin単独投与、8人は投与を受けませんでした。117人が参加した後から、副作用を減少させるために葉酸とビタミンB12が加えられました。最初の化学療法が投与される1から3週間前から葉酸 (350-1,000 μg 経口)は毎日与えられ、治療が終了する1から3週間後まで続けられました。最初の化学療法が投与される1から3週間前にビタミンB12(1,000 μg 筋肉注射)は注射され、治療が終了するまで9週間ごとに続けられました。全員の患者は皮膚の発疹を予防するためにデキサメサゾンDexamethasone (4 mg) か同等の力値の副腎皮質ステロイドcorticosteroidを、ペメトレキセドpemetrexed投与の前日、当日、翌日に、12回内服しました.

無作為割付して治療を受けたすべての患者の分析で、ペメトレキセドpemetrexed(アリムタAlimtaLily))  とシスプラチンcisplatinの併用療法は、シスプラチンcisplatin単独療法に比較して有意に生存期間が延長しました。中間生存期間はそれぞれ12.19.3か月(P=.020)でした。ペメトレキセドpemetrexed(アリムタAlimtaLily))  とシスプラチンcisplatinの併用療法と対照療法の患者さんの死亡に対する危険比は0.77でした。進行までの中間期間はペメトレキセドpemetrexed(アリムタAlimtaLily))  とシスプラチンcisplatinの併用療法で有意に長かった(5.73.9か月、P=0.001).併用療法の優位性はビタミン追加亜集団においても示されました。中間生存期間は併用化学療法群とシスプラチンcisplatin単独療法群でそれぞれ13.310.0か月でした(P=0.051).ペメトレキセドpemetrexed(アリムタAlimtaLily))  とシスプラチンcisplatin併用療法の主たる副作用は、骨髄抑制、疲労感、嘔気、嘔吐、呼吸困難です.3から4度の副作用はほとんどは、ビタミン追加で、有効性を損なわず有意に減少することができました.


重要:この情報は、主として医師、および他の医療従事者のためのものです。あなたがこの話題に関して質問をお持ちの場合、あなたの主治医に尋ねてください。

2004年6月最新版(更新日20043月4日)、2004.6翻訳:秋葉直志