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2006年3月最新版(2006年4月更新) この情報は主に医師やほかの医療従事者用です.
米国、2006年における肺癌(非小細胞と小細胞の合計)の推定新患者および死亡数は(1) 新患者 174,470人、死亡数 162,460人。 非小細胞肺癌(NSCLC:Non-small cell
lung cancer)は、異なった組織の多様な集団です.最多なのは類表皮あるいは扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌です。これらの組織は診断法、病期分類、予後(先の見込み)治療が似ているので、しばしば非小細胞肺癌と一括して分類されています.切除可能な病変は、外科的切除あるいは追加化学療法を行う外科的切除で治癒する可能性があります.放射線療法は局所制御をもたらすことができます.しかし、治癒は少数の患者さんにしか見られません.局所進行した、切除不可能な肺癌の患者さんへの化学療法を伴った放射線療法は長期生存をもたらす可能性があります。進行した転移を持った患者さんは化学療法で生存期間の延長と症状の緩和をもたらす可能性があります。 非小細胞肺癌(NSCLC)の患者さんは、診断時に病気の進展と治療方法を考えて3つの群に分けられます.第1群の患者さんの肺癌は外科的に切除可能です(通常T期、U期、選ばれたV期の患者さん).この群は腫瘍(癌)の種類や患者さんの因子によりますが、最も予後が良好です。外科的に切除可能な肺癌患者さんで内科的に手術適応外ならば、根治的放射線療法が考慮されます.シスプラチン(cisplatin)と組み合わせた多剤化学療法は、切除可能なTB期、U期、Va期非小細胞肺癌(NSCLC:Non-small cell
lung cancer)に生存期間の延長をもたらす可能性があります。 第2群は、肺癌が局所進展(T3−T4)あるいは所属リンパ節転移(N2−N3)しており、進行肺癌です.この群の経過はさまざまです。局所進行肺癌の選ばれた患者さんはいくつかの治療の組み合わせで利益を得る可能性があります。切除不能か所属リンパ節転移(N2−N3)の患者さんは化学療法と組み合わせた放射線療法で治療されます.T3あるいはN2肺癌のなかで一部の患者さんは、術前か術後化学療法か化学療法と放射線療法を組み合わせた外科療法で効果的に治療できます. 最後の群は診断の時点で遠隔転移(M1)があります.この群は原発巣からの症状を軽減するために放射線療法あるいは化学療法で治療できます.全身状態(パーフォーマンス・ステイタス:performance
status)の良い患者さん、女性、そして遠隔転移が一つの場所に限局している患者さんはほかの患者さんより長生きします(2).シスプラチン(cisplatin)を組み合わせた化学療法は短期間の症状改善と生存期間のいくらかの延長をもたらします.現在は単剤での化学療法は通常の方法としては勧められません.以前にシスプラチン(cisplatin)を組み合わせた化学療法で治療された患者さんは、ドセタキセル(docetaxel)、ペメトレキセド(pemetrexed)、上皮生長因子抑制剤(EGFRI:epidermal
growth factor receptor inhibitor)で症状の緩和や生存期間の延長が得られるかもしれません。 手術後の予後決定因子を明らかにする複数の研究が行われているが、さまざまな臨床病理学的因子の予後に与える重要性に関して相反する証拠が得られています(2-6)。予後不良と相関している因子として、以下のものがあります。
同様に、肺癌組織内における多数のタンパク質の異常な発現が予後に与える重要性に関して相反する結果が報告されています。手術不能な患者さんの場合、予後に悪影響を及ぼすのは、全身状態(performance status)の不良および10%を超える体重減少です。これらの患者さんは、積極的な複数療法(multimodality
interventions)を評価する臨床試験から除外されています。臨床試験情報の複数の過去へのさかのぼり(retrospective)解析では、高齢ということだけでは治療効果または生存期間への影響は示されていません(21)。
ほぼすべての非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんに対する治療が満足のいくものではないため、臨床試験に適格な患者さんは臨床試験への参加を検するべきです。
肺癌の治療を開始する前に、肺癌についての経験豊富な病理学者が病理材料を十分調べる必要があります。このことは、化学療法によく反応し、一般的に外科的に治療されない小細胞肺癌が、顕微鏡検査で非小細胞肺癌と混同されることがあるため、重要です(1)。 1999年、肺腫瘍(癌)の世界保健機構(WHO:World
Health Organization)分類が更新されました(1)。以前の分類(WHO 1981)と比較した場合、改定された分類の主要な変更は、扁平上皮異形成(squamous
dysplasia)および上皮内癌(carcinoma in situ)に、2つの前浸潤性病変の追加が挙げられます。つまり、異型腺腫様過形成(atypical
adenomatous hyperplasia)とびまん性特発性肺神経内分泌細胞過形成(diffuse idiopathic pulmonary
neuroendocrine cell hyperplasia)です。もう1つの重要な変更は腺癌の亜型分類です。つまり、細気管支肺胞上皮癌(bronchioalveolar
carcinoma)の定義は非浸潤性腫瘍(癌)に限定されました。神経内分泌肺腫瘍(neuroendocrine lung tumour)分類における概念が大幅に進展しました。大細胞神経内分泌癌(LCNEC
:large cell neuroendocrine carcinoma)は現在では、組織病理学的に神経内分泌への分化傾向を認めるほかに、免疫組織化学的にも神経内分泌マーカーを示す、組織学的に高悪性度の非小細胞癌であると認識されています。大細胞癌の分類には現在、大細胞神経内分泌癌(LCNEC
:large cell neuroendocrine carcinoma)および類基底細胞癌(basaloid)など、いずれも予後は不良ですが、いくつかの特殊型が含まれています。最後に、新しい分類として、広範囲の上皮から間葉分化を特徴とした、多形性(pleomorphic)、肉腫様(sarcomatoid)、肉腫性成分(sarcomatous
element)を伴う癌、という名称の癌が定義されました。免疫組織化学および電子顕微鏡検査は診断および亜型分類に有用な技術ですが、ほとんどの肺腫瘍(癌)は光学顕微鏡の規準で分類可能です。 肺の悪性非小細胞上皮性腫瘍(癌)は、以下のリストで列挙します。 WHO(世界保健機構:World Health
Organization)分類の変更については、次の章でより詳細に記述します。 新WHO(世界保健機構:World Health Organization)/国際肺癌研究会議の非小細胞肺癌に対する組織学的分類 1.
扁平上皮癌 Squamous cell carcinoma。
4. 腺扁平上皮癌 Adenosquamous
carcinoma。 5. 多形性、肉腫様、肉腫性成分を伴う癌 Carcinomas
with pleomorphic, sarcomatoid or sarcomatous elements。
7. 唾液腺型の癌Carcinomas of salivary-gland
type。
8. 分類不能癌Unclassified carcinoma。
腺癌は現在多くの国で大多数を占める組織亜型であり、腺癌の亜型分類に関する問題は非常に重要です。肺腺癌に関する最も大きな問題の1つは、しばしば見られる組織学的な多様性である。実際、粘液産生を伴う腺房、乳頭、細気管支上皮肺胞、充実腺癌の純粋に単一の腺癌組織亜型からなる腫瘍(癌)よりも、これらの腺癌組織亜型が混在する腫瘍(癌)の方が一般的です。細気管支肺胞上皮癌の診断規準は以前大きく異なっていました。現在のWHO(世界保健機構:World
Health Organization)/国際肺癌会議(IASLC:International Association for the Study of
Lung Cancer)の定義は、非浸潤性腫瘍(癌)だけに限定されるため、多くの病理医が以前に使用していた定義よりもはるかに限定的です。広範囲にわたる細気管支肺胞上皮癌成分をもつ腺癌に間質、血管、胸膜への浸潤が確認された場合、その分類は細気管支肺胞上皮型優性で、浸潤領域に見られる型に応じて限局的腺房、充実、乳頭型を伴う混合型腺癌となります。高分化胎児型腺癌、粘液性(コロイド)腺癌、粘液嚢胞腺癌、印環細胞腺癌、淡明細胞腺癌など、腺癌のいくつかの特殊型が新しい分類で認められています。 神経内分泌腫瘍 (Neuroendocrine tumor) 1981年以降、神経内分泌肺腫瘍の分類という概念の重要な進歩がありました。大細胞神経内分泌癌(LCNEC:large
cell neuroendocrine carcinoma)は現在、組織学的に高度の非小細胞癌(non-small cell carcinoma)として認識されています。大細胞神経内分泌癌(LCNEC
:large cell neuroendocrine carcinoma)は小細胞肺癌(SCLC:small cell lung cancer)の予後と同様、極めて予後不良です。非定型カルチノイド(atypical
carcinoid)は中等度の神経内分泌腫瘍として認識されており、予後は定型的カルチノイド(typical carcinoid)と高度小細胞肺癌(SCLC:small
cell lung cancer)および大細胞神経内分泌癌(LCNEC :large cell neuroendocrine carcinoma)との間に位置します。さらに、一般的な非小細胞肺癌(NSCLC:non-small
cell lung cancers)の10〜20%に、神経内分泌の形態を全くもたないが、免疫組織化学または電子顕微鏡検査により神経内分泌分化が示されるということがよく認識されています。これらの腫瘍(癌)は、非小細胞肺癌(NSCLC:non-small
cell lung cancers)における神経内分泌分化の臨床的および治療上の意義が強固に確立されていないため、WHO(世界保健機構:World
Health Organization)/国際肺癌会議(IASLC:International Association for the Study of
Lung Cancer)分類に正式には認められていません。これらの腫瘍(癌)は集合的に、神経内分泌分化を伴う非小細胞肺癌(NSCLC:non-small
cell lung cancers)と呼ばれています。 大細胞癌の一般的な種類に加えて、いくつかのまれな特殊型が認識されています。それは大細胞神経内分泌癌(LCNEC :large cell neuroendocrine carcinoma)、類基底細胞癌、リンパ上皮腫様癌、明細胞癌、桿状表現型を伴う大細胞癌があります。類基底細胞癌はまた、扁平上皮癌の特殊型としても認識されており、まれに、腺癌が類基底細胞型を示すことがあります。しかしながら、それらの特徴のいずれも伴わない腫瘍(癌)は大細胞癌の特殊型とみなされます。 多形性、肉腫様、肉腫性成分を伴う癌
(Carcinomas with pleomorphic, sarcomatoid or sarcomatous
elements) これはまれな腫瘍(癌)の集まりです。紡錘および巨大細胞癌および癌肉腫はそれぞれ、全肺癌のわずか0.4%および0.1%を占めます。またこの腫瘍(癌)の集まりは、上皮および間葉分化のほかに、組織学的多様性における連続を示します。二相性肺芽腫は、臨床的および分子生物学的情報に基づいて、多形性、肉腫様、肉腫性成分を伴う癌の連続体の一部とみなされています。
病期決定は治療と予後の参考になります.最初の時点での原発と転移巣の部位と広がりの注意深い診断評価は、患者さんの適切な治療のために重要です. 病期は治療を選択する上で重要な役割を持っています.肺癌の病期は臨床因子(身体所見、放射線診断、血液検査)と病理学因子(リンパ節の生検、気管支鏡検査、縦隔鏡検査、縦隔切開)の組み合せでできています(1).臨床病期と病理病期の区別は生存期間の結果の論文を評価する時に考慮しなくてはなりません. 病期決定の方法には、病歴、身体的検査、ルーチンの臨床検査評価、胸部X線、および造影剤を注入するCT検査(胸部コンピュータ断層撮影)があります。CT検査(胸部コンピュータ断層撮影)は、肝および副腎を含めるため下方まで延長すべきです。胸部および上腹部のMRI検査(Magnetic resonance imaging:磁気共鳴画像法)は、CT検査よりも優れていないようです(2)。一般に、遠隔転移の症状、身体徴候、検査所見、認識された危険により、遠隔転移が評価されます。骨シンチ(骨走査:骨スキャン)および脳のCT検査かMRI検査などの追加検査は、最初の評価で転移が示唆される場合か、積極的な局所治療および複合的治療を検討している病期IIIの患者さんに実施されることがあります。治療法を決定するためにリンパ節の正確な評価が必要である場合には、縦隔の外科的病期決定が標準と考えられています。病期決定のためのペット検査(フッ化デオキシグルコースポジトロン放射断層撮影:FDG-PET :fluorodeoxyglucose positron emission tomography)の利用可能性および使用が次第に一般化しており、縦隔リンパ節および遠隔転移の病期を決定するこの方法は変更されました。 CT検査(胸部コンピュータ断層撮影)で遠隔転移が見つからない場合、ペット検査(フッ化デオキシグルコースポジトロン放射断層撮影:FDG-PET :fluorodeoxyglucose positron emission tomography)は縦隔の病期決定を行うCT検査(胸部コンピュータ断層撮影)を補助します。CT検査とペット(PET)検査の併用は、CT検査単独よりも感度と特異度が高いです(3)。ペット(PET)検査に関する多くの非無作為割付研究(nonrandomized studies)では、比較のための最も標準とする手術(すなわち、縦隔鏡検査と縦隔リンパ節郭清を併用する開胸術の双方か片方)を用いて縦隔リンパ節を評価しました。ある前向き試験(prospective trial)で非小細胞肺癌(NSCLC)患者さん102人の病期決定についてペット(PET)検査の重要性が研究され、縦隔転移の検出に関して感度75%、特異度66%であったCT検査単独と比較して、ペット(PET)検査単独の感度、特異度、陰性適中率および陽性適中率はそれぞれ91%、86%、95%、74%であることが分かりました(4)。ペット(PET)検査の偽陰性は、小さな腫瘍(癌)およびFDG-PETでは原発病変と近接するリンパ節腫脹の識別ができない場合にみとめられました。偽陽性は、良性の炎症性疾患の存在によってしばしば起きました。これらの結果は他の研究によって確認されました(5,6)。臨床的に手術可能な非小細胞肺癌(NSCLC)の患者さんで、胸部CT検査で横軸断面の短径が1.0cmを超えると明らかにされたか、またはペット(PET)検査で陽性と明らかにされた場合は、縦隔リンパ節の生検が推奨されます。ペット(PET)検査が陰性でも放射線学的に腫大が認められた縦隔リンパ節の生検は行っても良いでしょう。CT検査およびペット(PET)検査の結果が相反する場合は、縦隔鏡検査が縦隔リンパ節内の癌の検出に必要です。 多くの非無作為割付、前向きと後ろ向き(nonrandomized, prospective and
retrospective)試験で、ペット検査(フッ化デオキシグルコースポジトロン放射断層撮影:FDG-PET:fluorodeoxyglucose positron emission tomography)は遠隔転移の病期決定において従来の画像法よりも優れた診断を提供するようであると実証されています。しかしながら、標準的なペット(PET)検査には限界があります。ペット(PET)検査は骨盤より下方には実施されないことがあり、下肢の長骨における骨転移を検出できない場合があります。ペット(PET)検査に用いられる代謝追跡物は脳および尿路に蓄積するため、ペット(PET)検査はこれらの部位における転移の検出には信頼性できません(7)。 ペット検査(フッ化デオキシグルコースポジトロン放射断層撮影:FDG-PET:fluorodeoxyglucose positron emission tomography)は、縦隔のCT検査で偽陰性を示す患者や他の部位に転移を有する患者を同定することで、医療全体の費用を低減しうることが、治療法決定解析で示されています(8-10)。複数の研究で、ペット検査陽性の縦隔病変に縦隔鏡検査を実施しないことで節約できる金銭的利益は、ペット検査による偽陽性の結果が許容できないほど多数であるため正当化されない、と結論付けられました(8-10)。臨床管理に対するPETの影響を評価したある無作為割付(randomized)試験で、ペット検査は適切な病期に関する追加的な情報を提供したが、開胸術の有意に開胸手術を減少させませんでした(11)。 脳転移の危険がある患者さんは、CT検査(胸部コンピュータ断層撮影)またはMRI検査(Magnetic resonance imaging:磁気共鳴画像法)で病期が決定されます。ある研究で、手術可能性がある非小細胞肺癌(NSCLC)ではあるが神経症状はみとめない患者さん332人が、肺手術の前に潜在性の脳転移を検出するため、脳のCT検査またはMRI検査に無作為割付(randomizedされました。MRI検査はCT検査よりも高い術前検出率の傾向を示し(P=0.069)、手術前から手術後12カ月までの全検出率は約7%でありました(7)。病期Iまたは病期IIの癌患者さんの検出率が4%(すなわち、患者さん200人中8人で検出)であったのに対し、病期IIIの癌患者さんの検出率は11.4%(すなわち、患者さん132人中15人で検出)でした。脳転移巣の平均最大径は、MRI検査群で有意に小さかったです。MRI検査の高い検出率により治療成績が改善されるかどうかは、まだ不明です。すべての患者さんがMRIに耐えられるわけではなく、これらの患者さんに対しては造影CT検査が合理的な代替法です。 肺癌の改訂国際病期分類体系は、5,000人以上の患者さんの臨床情報に基づいて1997年、米国対癌合同委員会(AJCC、American Joint Comittee on Cancer)および国際対癌連合(UICC、Union
Internationale Contre le Cancer)によって採用されました(12,13)。これらの改訂では、患者群の予後の特異性に重点をおいています。しかしながら、病期と予後の相関はPET画像診断が広く利用される以前のものです。病期 Iは腫瘍(癌)径により2種類に分けられました。IA(T1、N0、M0)とIB(T2、N0、M0)です。病期 IIは腫瘍(癌)径とリンパ節の状態により2種類に分けられました。IIA(T1、N1、M0)とIIB(T2、N1、M0)です。1986年版の病期分類体系で病期 IIIAであったT3、N0は、最新版では病期 IIBに移行しました。この変更ではこれらの患者のわずかに優れた予後を考慮し、胸膜を基地とする腫瘍(癌)または肺尖部胸壁浸潤癌(superior sulcus tumors)により壁側胸膜または胸壁への浸潤(T3)をみとめるが、リンパ節陰性(N0)である患者さんの多くが、時に放射線療法または化学放射線療法を併用する手術でしばしば治療され、その結果は病期IIの肺癌を切除された患者さんの結果とほぼ同じであることを示しています。他の変更は、多発性腫瘍(癌)結節の分類を明らかにするために行われました。原発巣と同一肺葉内にある衛星腫瘍(癌)結節は、リンパ節ではない場合には、T4に分類されるべきです。原発巣を含む肺葉以外の肺葉の肺内同側転移はM1病変(病期 IV)に分類されるべきです。 米国対癌合同委員会(AJCC:American Joint Comittee on Cancer)はTNM分類による病期分類しています(13)。 原発腫瘍(癌)(T:Primary
tumor)
所属リンパ節 (N:Regional lymph nodes)
遠隔転移 (M:Distant metastasis)
非小細胞肺癌(NSCLC)では,ほとんどの限局型の癌を除いて標準治療の結果は不良です.新たに診断された非小細胞肺癌患(NSCLC)者さんは新治療を評価するための潜在的な候補者です.外科療法はこの疾患の主たる治癒可能性の高い治療選択です.放射線療法は少数の患者さんに治癒を,そして多くの患者さんに姑息的効果をもたらすことができます.肺癌手術後に行う追加化学療法(adjuvant
chemotherapy)は非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんに利益をもたらすでしょう.進行期肺癌では、化学療法は中間生存期間の軽度の改善をもたらしますが、全体の生存期間は不良です(1,2)。化学療法は疾患関連症状の短期間の改善をもたらします.多くの臨床研究は、腫瘍関連症状や生活の質に対して、化学療法がどのくらい効果をもたらすかの評価を試みています。全体としてこれらの研究は、生活の質に悪い影響をもたらさずに、腫瘍関連症状が化学療法により制御される可能性を示唆しています(3-5)。しかし、化学療法が生活の質に及ぼす影響についてされに研究が必要です。 現在評価中の領域には、局所療法(外科手術療法)、所属部位療法(放射線療法)、全身療法(化学療法、免疫療法、分子標的治療薬)、開発中のより効果的全身療法の組み合わせがあります.シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、パクリタキセル(paclitaxel:タキソール(Taxol))、ドセタキセル(docetaxel:タキソテール(Taxotere))、トポテカン(topotecan)、イリノテカン(irinotecan)、ビノレルビン(vinorelbine)、ゲミシタビン(gemicitabine)を含むいくつもの薬が進行非小細胞肺癌(NSCLC)の治療に有力です.早い時期の肺癌患者さんにおける上部気道・消化管の2次原発癌の化学防御も研究されています. 治療を"標準" あるいは "臨床研究中"に分類することは、保険払い戻しのためのものではありません. 潜在ー非小細胞肺癌は次の臨床病期として定義されています.
潜在肺癌では、原発性肺癌の部位と性格を診断するために、必要なら綿密な経過観察(例.CT(computed tomographic scan:電子計算断層写真探査)検査を伴った胸部X線撮影と選択的気管支鏡が含んでいます.このようにして発見された肺癌は通常早期であり外科手術療法で治ります.原発性肺癌を見つけた後は、患者さんの肺癌の病期を決定して治療方法を決めます.治療は決められた病期の非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer)患者さんで勧めるものと同じです. 0期ー非小細胞肺癌は次の臨床病期として定義されています.
0期-非小細胞肺癌(NSCLC:non-small cell lung cancer)は肺の上皮内癌と同じです.これらの腫瘍は定義からして非浸潤癌であり転移能力はないので、外科的切除で治ります.しかし、2番目の原発癌の出現する可能性が高く、またこれらの多くは切除できません.ヘマトポルフィリン(hematoporphyrin)誘導体を用いた内視鏡による光線療法は、慎重に選択された患者さんでは、外科手術療法に代わる、一つの選択肢になると記載されています(1-3).この研究評価中の治療は、気管支内に1cm未満の進展をしている非常に早期の中心型肺癌には最も有効と思われます(2).早期非小細胞肺癌(NSCLC)に対するこの治療方法の効果はまだ証明されていません. 治療の選択肢 注釈:この章のいくつかの引用には証拠のレベルがついています.PDQ (Physican Data Query:医師情報質問)編集委員会は、読者が治療戦略の報告された結果の信憑性を判断するために、公式順位分類を使用します.(詳細については、証拠水準のPDQ要約を参照してください.)
外科手術療法はT期非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer :NSCLC)患者さんに対する治療選択肢です.患者さん全身の慎重な術前評価、特に患者さんの肺予備能は外科療法の利益を考慮するのに重大です.手術直後の死亡率は年齢に関係し、肺葉切除では3%から5%であると考えられます(1).肺機能の悪い患者さんでは原発性肺癌の区域あるいは楔状切除が考えられるでしょう.肺癌研究集団(Lung Cancer Study Group)は、T期肺癌患者さんに対して、肺葉切除と縮小切除を比較する無作為割付試験(randomized study)を行いました(2).この研究の結果、肺葉切除の患者さんは縮小手術の患者さんに比較して局所再発は減少しましたが、全体の生存率には有意な差はありませんでした(3).同様の結果は無作為割付試験でない解剖学的区域切除と肺葉切除の比較で報告されました(4).肺癌が3cmを越える患者さんでは肺葉切除が生存率に寄与しましたが、3cmより小さい肺癌ではそうではありませんでした.しかし、原発性肺癌の大きさに関わらず、肺葉切除後の局所あるいは所属リンパ節再発は有意に減少しました. もう一つの研究では、T期患者さんで楔状あるいは区域切除で治療されると、完全切除を受けたにも関わらず局所再発率は50%(62人中31人)でありました(5).運動試験は肺機能の悪い患者さんから肺切除に耐えられる患者さんを選択するために行われます(6).ビデオ補助胸腔鏡下(VATS:video-assisted thoracoscopic)楔状切除を利用すると、通常肺葉切除の候補者にならない悪い肺機能の患者さんに縮小手術を行うことができます(7). 病期I期の手術不能な患者さんで十分な肺予備機能がある場合には、根治目的の放射線療法の候補となります。4cm未満の切除可能病変がありますが、ほかに内科的に手術不能な病気があるかまたは手術療法を拒否した70歳超の患者さんに関するある報告によると、根治的放射線療法後の5年生存率は、根治目的で手術療法を施行した同年齢層の過去の成績とほぼ同じでありました(8)。放射線療法に関する2つの最大規模なさかのぼり(retrospective)研究では、手術不能な患者さんの根治的放射線療法後の5年生存率はそれぞれ10%と27%でありました(9,10)。両研究とも、T1およびN0の患者さんでさらに良好な治療成績が得られ、この群での5年生存率はそれぞれ60%と32%でありました。 初回放射線療法では、超高圧装置を用い、腫瘍体積の中央面に通常分割法で約6,000cGyを照射すべきです。原発腫瘍への縮小照射野での追加照射が、しばしば局所制御を確保するために用いられます。最善の結果を得るためには、標的体積の正確な定義と、重要な正常組織を可能な限り避けた慎重な照射計画が必要です。これには模擬実験装置(simulator)を使用する必要がある。 外科療法を受けた多くの患者さんが、後に所属リンパ節転移または遠隔転移をきたします(5)。このような患者さんは、化学療法または放射線療法による術後の補助療法を評価する臨床試験への候補者です。術後放射線療法と外科療法単独とを比較した9つの無作為割付試験(randomized trials)の結果を多施設分析(meta-analysis)した結果、病期 I期と病期
II期の患者さんで補助放射線療法を行った患者さんの全生存率が7%低下しました(11)(証拠水準:1iiA)。これらの結果が放射線照射における技術進歩、標的体積のより正確な設定、照射部位における心臓体積の減少によって修飾される可能性があるかどうかを明らかにすることが重要です。 病期 IB期の肺癌患者さんは、プラチナ(platinum)製剤を含む追加多剤併用化学療法から利益を得るでしょう(12-16)。 1995年に報告された追加化学療法試験(adjuvant chemotherapy trial s)の多施設情報分析(meta-analysis)で、シスプラチンを併用する化学療法で治療された患者さんの死亡に関する危険比(hazard ratio (HR)ハザード比)が0.87であることが明らかにされました(17)。しかし、この結果は統計学的に有意ではありませんでした。1995年の発表以来、シスプラチン (cisplatin)を含む追加多剤併用化学療法の効果を評価した4件の大規模無作為割付(くじ引き:randomized)試験および別の1件の追加的多施設情報分析(meta-analysis)が報告されました。3件の試験および多施設情報分析(meta-analysis)により、シスプラチン(cisplatin)を含む補助化学療法は、選択された非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんの全生存を改善することが示されました。 国際追加肺癌試験(IALT: International Adjuvant Lung Cancer Trial)という最大規模の研究において、病期I期、病期II期、病期III期の非小細胞肺癌(NSCLC)を切除された患者さん1,867人がシスプラチン(cisplatin)を含む多剤併用化学療法群または経過観察群に無作為割付(randomization)されました(13)。 化学療法に割り付けられた患者さんは、観察群に割り付けられた患者さんよりも有意に高い生存率を示しました(5年生存率、44.5%対40.4%、死亡に関する危険比=0.86、95%信頼区間(CI :confidence
interval)=0.76〜0.98、P<0.03)(13)(証拠水準:1iiA)。 7名の患者さん(0.8%)が化学療法の毒性により死亡しました。 2つ目の研究では、完全切除を受けた病期I期(T2N0)または病期II期(T3N0を除外)の非小細胞肺癌(NSCLC)患者さん482人が、4回(cycles)のビノレルビン(vinorelbine)とシスプラチン (cisplatin)の併用化学療法または経過観察に無作為割付(randomized)されました(12)。全体の生存期間は、化学療法を受けた患者さんで有意に延長されました(生存期間中央値、94カ月対 73カ月、危険比HR=0.69、P=0.011)(12)(証拠水準:1iiA)。2名の患者さんが化学療法関連の副作用により死亡しました。 3つ目の研究では、病期IB期(T2N0M0)非小細胞肺癌(NSCLC)の患者さん344人が、4回(cycles)のパクリタキセル (paclitaxel)とカルボプラチン (carboplatin)の併用化学療法または経過観察に無作為割付(randomized)されました(14)。化学療法関連の副作用による死亡はありませんでした。死亡に関する危険比(hazard ratio)は、追加化学療法を受けた患者さんで有意に低かったです(危険比HR=0.62、95%信頼区間(CI
:confidence interval)=0.41〜0.95、P=0.028)(14)(証拠水準:1iiA)。4年経過時の全体の生存率は化学療法群で71%(95%信頼区間(CI
:confidence interval)=62〜81%)、経過観察群で59%(95%信頼区間(CI :confidence
interval)=50〜69%)であった。 4つ目の研究の、イタリア追加療法計画(ALPI:Adjuvant Lung Project Italy)では、完全切除後の病期T期、病期U期、病期VA期の非小細胞肺癌(NSCLC)患者さん1,209人が、マイトマイシンC (mitomycin C)、ビンデシン (vindesine)、およびシスプラチン (cisplatin)を3週間ごとに投与される群または追加治療なし群に無作為に割り付けられ(randomly assigned)ました(15)(証拠水準:1iiA)。 64.5カ月の追跡期間中央値の後、全体の生存期間(危険比(HR)=0.96、95%信頼区間(CI
:confidence interval)=0.81〜1.13、P=0.589)または無再発生存期間(危険比(HR)=0.89、95%信頼区間(CI
:confidence interval)=0.76〜1.03、P=0.128)において2つの患者さん群で統計的有意差は認められませんでした。 総計5,716人の患者さんに実施された、1995年の確認された11件の研究による、多施設治療分析(meta-analysis)の発表後に、最近の文献に基づく無作為割付研究(randomized trials)の多施設治療分析(meta-analysis)が報告されました。この分析には、上述の国際追加肺癌試験(IALT: International Adjuvant Lung Cancer Trial)およびイタリア追加療法計画(ALPI:Adjuvant Lung Project Italy)試験が含まれています。この分析において、危険比(HR)の推定値から、追加化学療法は手術単独よりも生存期間が延長するということが示唆されました(危険比(HR)=0.872、95%信頼区間(CI :confidence
interval)=0.805〜0.944、P=0.001)。亜群分析では、シスプラチン (cisplatin)を含んだ化学療法(HR=0.891;95%CI、0.815〜0.975;P=0.012)とテガフール(tegafur)およびウラシル(uracil)(UFT)を用いた単剤化学療法(危険比(HR)=0.799、95%信頼区間(CI :confidence
interval)=0.668〜0.957、P=0.015)がいずれも統計的に優位な生存期間の延長をもたらすことが示されました(16,18)。 要約すると、シスプラチン(cisplatin)を含む多剤併用化学療法が切除された非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんに明らかな生存の利益をもたらすことを示しています。切除可能な非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんにおける、手術および化学療法の最適な順序、および補助放射線療法の利益と危険については、今後決定する必要があります。 喫煙関連の肺癌が治癒した多くの患者さんは2次癌の発生の可能性があります。907人のT1, N0で切除できた患者さんに対する肺癌研究集団(Lung Cancer Study Group)の研究で、肺以外での2次癌発生頻度は年間1.8%で、新肺癌に関しては1.6%でした(19).他の研究でも、長期生存例での2次癌発生は、2次肺癌10%そして全身の2次癌で20%と、さらに高い危険を示しました(5).切除されたT期患者さんの、ビタミンA投与対経過観察の無作為割付試験(randomized trial)では、ビタミンA群での2次原発癌が減少しますが、全体の生存率には差がありませんでした(20).しかし、肺癌の一次予防に用いられるベータカロチン(β-carotene)やレチノール(retinol)服用は、ある大規模割り付け研究(randomized study)において死亡率の増加と肺癌の頻度を増加をしました(21)(証拠水準:1iA)。 T期の非小細胞肺癌の切除患者さんでの2次癌の化学防御におけるイソトレチノイン(isotretinoin)の役割を評価する群間の臨床研究によると、1,116人の患者さんがイソトレチノイン(isotretinoin (1日30 mg))を3日間投与される群と偽薬(placebo)を投与される群に無作為に割り付け(randomly assigned)られました(22)(証拠水準:1iiA).(PDQ要約の肺癌予防を参照して下さい)中間経過観察期間3.5年で、2次癌の発生までの期間、肺癌の再発、生存期間に関して、両群に差はありませんでした.
注釈:この章のいくつかの引用には証拠のレベルがついています.PDQ (Physican Data Query:医師情報質問)編集委員会は、読者が治療戦略の報告された結果の信憑性を判断するために、公式順位分類を使用します.詳細については、証拠水準のPDQ要約を参照してください. U期ー非小細胞肺癌は次の臨床病期集団として定義されています
病期U期非小細胞肺癌(NSCLC)の患者さんには外科手術療法が選択されます.患者さんの全身状態を、術前に慎重に評価すること、特に患者さんの肺の予備力は外科療法の利益を考慮する上で重要です.術直後の死亡率は年齢に関係しますが、肺全摘術で5%から8%、肺葉切除で3%から5%が予想されます. 病期U期で充分な肺機能の予備力がある手術不能患者さんは、根治目的の放射線療法が考慮されます(1).全身状態が良い患者さんは根治的放射線療法が完遂できれば、20%までの3年生存率が期待されます.今日までの最大のさかのぼり(retrospective)研究の報告において、内科的に手術不能な非小細胞肺癌で、根治的放射線療法を行った152人の患者さんでは10%の5年総合生存率を達成しました.しかし、T1肺癌の44人は実質非担癌生存率は60%でした.このさかのぼり研究では60グレイ(Gy:6,000 cGy)以上の放射線療法が非担癌生存率を改善することも示唆しました(2).根治的放射線治療では巨大電圧装置から通常の分割法を用いて肺癌の中央に約60グレイ(Gy:6,000 cGy)を照射します.局所制御をさらに増強する目的で原発性肺癌の円錐領域にしばしば追加投与を行います.目標容量を正確に確定し、できるだけ重要な正常組織を避けた慎重な治療計画が、良い結果を生むために必要であり、模擬実験装置(simulator)の使用が必要です. 外科手術療法を受けた患者さんの多くに局所転移あるいは遠隔転移が発生します(3).1960年代より、非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんに外科手術療法後の追加化学療法を評価するために前向き無作為割付研究(prospective randomized trials)が行われました。1995年に報告された術後追加化学療法試験の多施設統計分析試験(meta-analysis)で、シスプラチン (cisplatin)を含んだ化学療法で治療された患者さんの死亡に関する危険比(HR :hazard ratio)が0.87であることが明らかにされました(4)。しかし、この結果は統計学的に有意ではありませんでした。1995年の発表以来、シスプラチン(cisplatin)を含む術後追加多剤化学療法の効果を評価した4件の大規模無作為割付試験および別の1件の追加的多施設統計分析試験(meta-analysis)が報告されました。3件の試験および多施設統計分析試験(meta-analysis)により、シスプラチン(cisplatin)を含んだ術後追加化学療法(adjuvant chemotherapy)は、選択された非小細胞肺癌患者さんの全生存期間を改善することを示しました。 国際追加肺癌試験(IALT: International Adjuvant Lung Cancer Trial)という最大規模の研究において、病期I期、病期II期、病期III期の非小細胞肺癌(NSCLC)を切除された患者さん1,867人がシスプラチン(cisplatin)を含む多剤併用化学療法群または経過観察群に無作為割付(randomization)されました(5)。 化学療法に割り付けられた患者さんは、観察群に割り付けられた患者さんよりも有意に高い生存率を示しました(5年生存率、44.5%対40.4%、死亡に関する危険比=0.86、95%信頼区間(CI :confidence
interval)=0.76〜0.98、P<0.03)(5)(証拠水準:1iiA)。 7名の患者さん(0.8%)が化学療法の毒性により死亡しました。 2つ目の研究では、完全切除を受けた病期I期(T2N0)または病期II期(T3N0を除外)の非小細胞肺癌(NSCLC)患者さん482人が、4回(cycles)のビノレルビン(vinorelbine)とシスプラチン (cisplatin)の併用化学療法または経過観察に無作為割付(randomized)されました(6)。全体の生存期間は、化学療法を受けた患者さんで有意に延長されました(生存期間中央値、94カ月対 73カ月、危険比HR=0.69、P=0.011)(6)(証拠水準:1iiA)。2名の患者さんが化学療法関連の副作用により死亡しました。 3つ目の研究では、病期IB期(T2N0M0)非小細胞肺癌(NSCLC)の患者さん344人が、4回(cycles)のパクリタキセル (paclitaxel)とカルボプラチン (carboplatin)の併用化学療法または経過観察に無作為割付(randomized)されました(7)。化学療法関連の副作用による死亡はありませんでした。死亡に関する危険比(hazard ratio)は、追加化学療法を受けた患者さんで有意に低かったです(危険比HR=0.62、95%信頼区間(CI
:confidence interval)=0.41〜0.95、P=0.028)(7)(証拠水準:1iiA)。4年経過時の全体の生存率は化学療法群で71%(95%信頼区間(CI
:confidence interval)=62〜81%)、経過観察群で59%(95%信頼区間(CI :confidence
interval)=50〜69%)であった。 4つ目の研究の、イタリア追加療法計画(ALPI:Adjuvant Lung Project Italy)では、完全切除後の病期T期、病期U期、病期VA期の非小細胞肺癌(NSCLC)患者さん1,209人が、マイトマイシンC (mitomycin C)、ビンデシン (vindesine)、およびシスプラチン (cisplatin)を3週間ごとに投与される群または追加治療なし群に無作為に割り付けられ(randomly assigned)ました(8)(証拠水準:1iiA)。 64.5カ月の追跡期間中央値の後、全体の生存期間(危険比(HR)=0.96、95%信頼区間(CI
:confidence interval)=0.81〜1.13、P=0.589)または無再発生存期間(危険比(HR)=0.89、95%信頼区間(CI
:confidence interval)=0.76〜1.03、P=0.128)において2つの患者さん群で統計的有意差は認められませんでした。 総計5,716人の患者さんに実施された、1995年の確認された11件の研究による、多施設治療分析(meta-analysis)の発表後に、最近の文献に基づく無作為割付研究(randomized trials)の多施設治療分析(meta-analysis)が報告されました。この分析には、上述の国際追加肺癌試験(IALT: International Adjuvant Lung Cancer Trial)およびイタリア追加療法計画(ALPI:Adjuvant Lung Project Italy)試験が含まれています。この分析において、危険比(HR)の推定値から、追加化学療法は手術単独よりも生存期間が延長するということが示唆されました(危険比(HR)=0.872、95%信頼区間(CI :confidence
interval)=0.805〜0.944、P=0.001)。亜群分析では、シスプラチン (cisplatin)を含んだ化学療法(HR=0.891;95%CI、0.815〜0.975;P=0.012)とテガフール(tegafur)およびウラシル(uracil)(UFT)を用いた単剤化学療法(危険比(HR)=0.799、95%信頼区間(CI :confidence
interval)=0.668〜0.957、P=0.015)がいずれも統計的に優位な生存期間の延長をもたらすことが示されました(9,10)。 要約すると、シスプラチン(cisplatin)を含む多剤併用化学療法が切除された非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんに明らかな生存の利益をもたらすことを示しています。切除可能な非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんにおける、手術および化学療法の最適な順序、および補助放射線療法の利益と危険については、今後決定する必要があります。
注釈:この章のいくつかの引用には証拠のレベルがついています.PDQ (Physican Data Query:医師情報質問)編集委員会は、読者が治療戦略の報告された結果の信憑性を判断するために、公式順位分類を使用します.詳細については、証拠水準のPDQ要約を参照してください. V期ー非小細胞肺癌は次の臨床病期集団として定義されています
臨床病期、VA N2の患者さんの5年生存率は全体で10%から15%です.しかし、巨大縦隔リンパ節腫大(胸部X線で確認できる)があると5年生存率は2%から5%です.臨床環境に応じて、VA期の非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer: NSCLC)患者さんの考えられる治療の第1選択は、放射線療法、化学療法、外科手術療法、これらを合わせた集学的治療です.これらの患者さんの多くは放射線療法で治癒しませんが、60グレイ(Gy:6,000cGy)の標準的分割照射された患者さんに5%から10%の生存率の利益が再現性をもって示されています.そして、有意な効果がしばしば見られます.良好な全身状態の患者さんで、外科的に切除不能である肺癌であることが開胸手術をしてはじめて分かった患者さんは、最も放射線治療で利益を得る可能性が高いです(1). 長期の結果が不良なので、すべてのVA期の非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんは臨床研究への参加を考慮するべきです.放射線療法の分割計画を調べる研究や、近接照射療法や、そしてこれらを併用した研究がこの肺癌の制御を改善するかもしれません(2).一つの前向き無作為割付臨床研究(prospective randomized clinical study:くじ引き試験)では1日1回分割の放射線治療に較べて、1日3回の分割では全体の生存を改善しました(3)(証拠水準:1iiA). 放射線療法に対する化学療法の追加は、最近のシスプラチン(cisplatin)を含んだ化学療法を用いた、前向き(prospective)臨床研究において生存期間を延長すると報告されています(4-7).11件の無作為割付臨床研究の患者さん情報を多施設研究分析(meta-analysis)すると、シスプラチン(cisplatin)を含んだ化学療法および放射線療法は、放射線療法単独に比較して死亡率が10%減少する結果がでました(8).各種療法の順序と薬剤投与計画の最適なものは確定していないので、現在臨床研究が進行中です(9). 外科手術前(neoadjuvant)化学療法が有効であることが、VA期非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんが合計で120名という2つの小規模無作為研究で示されました(10、11).この2つの研究では、3回のシスプラチン(cisplatin)を含んだ化学療法に引き続き外科療法を行う群に、無作為に振り分けられた58名の患者さんは、外科手術療法を行い化学療法を行わなかった群に比較して、3倍以上の中間生存期間を示しました.病理学的に確認したN2 VA 期非小細胞肺癌(NSCLC)の211人に対して、2回から4回の多剤併用療法か多剤併用療法に加えて胸部の放射線療法を行う2つの単独評価目的(single-arm) の研究が評価されました(12).これらの研究では、65%から75%の患者さんは癌を切除することができて、27%から28%の患者さんは3年後も生存していました.これらの結果は勇気がでます.手術前化学療法に手術療法と胸部放射線療法の両方か片方を併用する療法を、全身状態の良好なVA期の患者さんは考慮するべきです. 外科手術療法を受けた患者さんの多くに局所転移あるいは遠隔転移が発生します(13).外科切除された病期VA期の非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんはシスプラチン(cisplatin)を含んだ追加化学療法で利益があるでしょう(14-19)。1960年代より、非小細胞肺癌(NSCLC)者さんに外科手術療法後の追加化学療法を評価するために前向き無作為割付研究(prospective randomized trials:くじ引き試験)が行われました。1995年の追加化学療法の多施設分析(meta-analysis)は、シスプラチン(cisplatin)を含んだ追加化学療法で治療した患者さんの死亡に関する危険率(hazard ratio:HR)が0.87であることが示されました(8)。しかし、この結果は統計学的に有意ではありませんでした。1995年の発表以来、シスプラチン(cisplatin)を含む術後追加多剤化学療法の効果を評価した4件の大規模無作為割付試験および別の1件の追加的多施設統計分析試験(meta-analysis)が報告されました。3件の試験および多施設統計分析試験(meta-analysis)により、シスプラチンを含んだ術後追加化学療法(adjuvant chemotherapy)は、選択された非小細胞肺癌患者さんの全生存期間を改善することを示しました。 国際追加肺癌試験(IALT: International Adjuvant Lung Cancer Trial)という最大規模の研究において、病期I期、病期II期、病期III期の非小細胞肺癌(NSCLC)を切除された患者さん1,867人がシスプラチン(cisplatin)を含む多剤併用化学療法群または経過観察群に無作為割付(randomization)されました(14)。 化学療法に割り付けられた患者さんは、観察群に割り付けられた患者さんよりも有意に高い生存率を示しました(5年生存率、44.5%対40.4%、死亡に関する危険比=0.86、95%信頼区間(CI :confidence
interval)=0.76〜0.98、P<0.03)(14)(証拠水準:1iiA)。 7名の患者さん(0.8%)が化学療法の毒性により死亡しました。 2つ目の研究では、完全切除を受けた病期I期(T2N0)または病期II期(T3N0を除外)の非小細胞肺癌(NSCLC)患者さん482人が、4回(cycles)のビノレルビン(vinorelbine)とシスプラチン (cisplatin)の併用化学療法または経過観察に無作為割付(randomized)されました(15)。全体の生存期間は、化学療法を受けた患者さんで有意に延長されました(生存期間中央値、94カ月対73カ月、危険比HR=0.69、P=0.011)(15)(証拠水準:1iiA)。2名の患者さんが化学療法関連の副作用により死亡しました。 3つ目の研究では、病期IB期(T2N0M0)非小細胞肺癌(NSCLC)の患者さん344人が、4回(cycles)のパクリタキセル (paclitaxel)とカルボプラチン (carboplatin)の併用化学療法または経過観察に無作為割付(randomized)されました(16)。化学療法関連の副作用による死亡はありませんでした。死亡に関する危険比(hazard ratio)は、追加化学療法を受けた患者さんで有意に低かったです(危険比HR=0.62、95%信頼区間(CI
:confidence interval)=0.41〜0.95、P=0.028)(16)(証拠水準:1iiA)。4年経過時の全体の生存率は化学療法群で71%(95%信頼区間(CI
:confidence interval)=62〜81%)、経過観察群で59%(95%信頼区間(CI :confidence
interval)=50〜69%)でした。 4つ目の研究の、イタリア追加療法計画(ALPI:Adjuvant Lung Project Italy)では、完全切除後の病期T期、病期U期、病期VA期の非小細胞肺癌(NSCLC)患者さん1,209人が、マイトマイシンC (mitomycin C)、ビンデシン (vindesine)、およびシスプラチン (cisplatin)を3週間ごとに投与される群または追加治療なし群に無作為に割り付けられ(randomly assigned)ました(17)(証拠水準:1iiA)。 64.5カ月の追跡期間中央値の後、全体の生存期間(危険比(HR)=0.96、95%信頼区間(CI
:confidence interval)=0.81〜1.13、P=0.589)または無再発生存期間(危険比(HR)=0.89、95%信頼区間(CI
:confidence interval)=0.76〜1.03、P=0.128)において2つの患者さん群で統計的有意差は認められませんでした。 総計5,716人の患者さんに実施された、1995年の確認された11件の研究による、多施設治療分析(meta-analysis)の発表後に、最近の文献に基づく無作為割付研究(randomized trials)の多施設治療分析(meta-analysis)が報告されました。この分析には、上述の国際追加肺癌試験(IALT: International Adjuvant Lung Cancer Trial)およびイタリア追加療法計画(ALPI:Adjuvant Lung Project Italy)試験が含まれています。この分析において、危険比(HR)の推定値から、追加化学療法は手術単独よりも生存期間が延長するということが示唆されました(危険比(HR)=0.872、95%信頼区間(CI :confidence
interval)=0.805〜0.944、P=0.001)。亜群分析では、シスプラチン (cisplatin)を含んだ化学療法(HR=0.891;95%CI、0.815〜0.975;P=0.012)とテガフール(tegafur)およびウラシル(uracil)(UFT)を用いた単剤化学療法(危険比(HR)=0.799、95%信頼区間(CI :confidence
interval)=0.668〜0.957、P=0.015)がいずれも統計的に優位な生存期間の延長をもたらすことが示されました(18,19)。 要約すると、シスプラチン(cisplatin)を含む多剤併用化学療法が切除された非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんに明らかな生存の利益をもたらすことを示しています。切除可能な非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんにおける、手術および化学療法の最適な順序、および補助放射線療法の利益と危険については、今後決定する必要があります。 ほとんどのさかのぼり(retrospective)研究は、手術後の放射線療法がリンパ節転移陽性患者さんの局所制御が改善できることを示唆していますが、このことが生存率を改善できるかどうかは議論のあるところです(20,21).完全切除された病期U期かV期の扁平上皮癌の患者さんに対する、ひとつの対照研究(control trial)は、術後の放射線療法が生存率を改善するということを証明できませんでしたが、局所再発は有意に減少しました(22).1986年から1994年に行われた研究では、病期T、U、VAの完全切除された肺癌を無作為(randomly)に切除単独と切除に手術後放射線療法加えた群に分けました.外科手術後に放射線療法を加えても、全体の群や、病期VAの群での生存率の改善や局所再発の減少は認めませんでした(23)(証拠水準:1iiA)。外科手術後の放射線療法単独と、外科手術後のシスプラチン(cisplatin)とエトポシド(etoposide)を同時併用した放射線療法を比較した群間での臨床研究では、併用療法の非担癌生存や生存期間の延長を示せませんでした(24)(証拠水準:1iiA).外科手術後の放射線療法と外科療法単独を評価した9つの無作為割付研究(randomized trial)の多施設研究分析(meta-analysis)によると、手術後の放射線療法全体の群やN2肺癌患者さんの群に対する全体の生存率は改善しませんでした(25)(証拠水準:1iiA)。放射線療法の技術的な進歩や、目標容量のより良い確定や、放射線照射野における心臓照射の制限により、予後や再発の結果が修飾を受ける可能性があるかどうかを決めることは重要です. 非小細胞肺癌(NSCLC)の治療において、現在までにいかなる免疫療法も一貫した効果は認められていません.
肺尖部胸壁浸潤肺癌(Superior sulcus tumor)の治療には特殊な方法も利益をもたらします。これは局所浸潤肺癌で通常遠隔転移が少ない傾向があります.そのために、局所療法が治癒させうる潜在的な可能性があり、特にT3, N0肺癌に言えます.放射線療法単独、外科手術療法が先行するか後に行う放射線療法、外科手術療法単独(厳選された症例)で治癒する患者さんもいます、そして5年生存率は20%以上の研究がいくつかあります(30).この領域のより浸潤した肺癌患者さんは、つまり真のパンコースト腫瘍(Pancoast tumor)では、予後はさらに悪いですし、通常,外科手術療法主体では利益は得られません.放射線部位での著効(complete response)を確認するのと、壊死組織を切除するために経過観察としての外科手術療法は用いられます.とくに,T4、N0またはN1の肺癌患者さんは外科手術療法後の,化学療法と放射線療法の同時併用はもっともよい結果を生むでしょう(31)(証拠水準:3iiiDi).
胸壁に直接浸潤している大きな原発肺癌を持った選択された患者さんは、外科手術療法で腫瘍が完全切除できたなら長期生存を達成することができます. 注釈:この章のいくつかの引用には証拠のレベルがついています.PDQ (Physican Data Query:医師情報質問)編集委員会は、読者が治療戦略の報告された結果の信憑性を判断するために、公式順位分類を使用します.(詳細については、証拠水準のPDQ要約を参照してください) VB期ー非小細胞肺癌は次の臨床病期集団として定義されています
VB期―非小細胞肺癌(NSCLC :non-small cell lung cancer)は外科手術療法単独では利益を得られません、そして肺癌の場所と全身状態(performance status)次第ですが、最初に化学療法を行う、化学療法と放射線療法を行う、放射線療法単独を行うことが最も良いです.全身状態(performance status)の良好な患者さんは組み合わせた方法の治療を考慮するべきでしょう.全身状態(performance status)が良好な患者さんの多くは、組み合わせ療法の対象者になりますが、しかし、癌性胸水の患者さんは放射線療法の対象には通常なりません、そして通常W期の患者さんと同様に治療されます.V期非小細胞肺癌(NSCLC)の切除不能患者さんを対象に多くの無作為研究で、放射線療法単独より、シスプラチン(cisplatin)を組み合わせた外科手術前化学療法(neoadjuvant)あるいは化学療法と放射線療法の同時併用の方が生存率を改善することが示されました(1-5).11の無作為割付臨床研究(randomized clinical trial)の患者さんの多施設研究分析(meta-analysis)では、放射線療法単独に比較して、シスプラチン(cisplatin)を組み合わせた化学療法に放射線療法を加えると死亡率が10%減少する結果がでました(6). 全身状態(performance status)が不良なVB期肺癌患者さんは、呼吸器症状(例えば、咳、呼吸困難、喀血、胸痛)を軽減するための胸部放射線療法の候補者です(7)(証拠水準:3iiiC). 鎖骨上窩リンパ節に転移があって、根治目的の放射線療法の良い適応の患者さんは3年生きる方もいるでしょう.これらの患者さんの多くは放射線療法で完全奏功(complete response)はしませんが、しばしば症状がうまく軽快します.全身状態(performance status)が良好で、切除の時点で進行した時期の肺癌であると診断された患者さんは、放射線療法で利益を得られやすいです(8).手術不能あるいは切除不能な局所進展や所属リンパ節転移を持った非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんに対する、放射線療法を併用した追加全身化学療法の無作為割付研究(randomized trials)が行われました(1-3,9).追加化学療法である程度生存が延長した患者さんもいました.放射線療法に化学療法を追加することで長期生存を達成できたという前向き(prospective)臨床研究がいくつかありますが(1,3,4)、すべてではありません(10).54の無作為割付臨床研究(randomized
clinical trial)の患者さん情報の多施設分析(meta-analysis)では、放射線療法にシスプラチン(cisplatin)を組み合わせた化学療法を追加すると、2年で4%の実質生存率の向上が示されました(11).治療法の最良の順序に関してはまだ結論がでていません、そして進行中の臨床研究で検討中です(12). 全体の結果が不良なので、これらの患者さんでは放射線療法の分割計画、放射線増感剤、そして治療方法の組み合わせを調べる臨床研究を考慮に入れなくてはなりません.この研究で肺癌の制御が導かれるでしょう. 非小細胞肺癌(NSCLC)の患者さんは上大静脈症候群を呈する可能性があります.さらに情報が必要ならPDQ(Physican Data Query:医師情報質問)要約の上大静脈症候群を参照して下さい.病期に関係なく、化学療法を併用するかしない放射線療法で通常治療されます. 治療の選択肢
注釈:この章のいくつかの引用には証拠のレベルがついています.PDQ (Physican Data Query:医師情報質問)編集委員会は、読者が治療戦略の報告された結果の信憑性を判断するために、公式順位分類を使用します.詳細については、証拠水準のPDQ要約を参照してください. W期ー非小細胞肺癌は次の臨床病期集団として定義されています
シスプラチン(cisplatin)と組み合わせた、あるいはカルボプラチン(carboplatin)と組み合わせた緩和目的の化学療法は、転移した非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer :NSCLC)に対して主観的で客観的な奏効(response)と関連しています.いくつかの無作為割付試験(randomized trial)では、化学療法は支持療法単独に比較して、短期生存期間という幾らかの利益を手術不能なVB 期かW期肺癌患者さんにもたらすことが示されました.副作用は様々で、結果はほとんどのプラチナ製剤(シスプラチン(cisplatin)やカルボプラチン(carboplatin))と組み合わせた多剤併用療法ではほぼ同様です.5つの以前からあるシスプラチン(cisplatin)と組み合わせた化学療法の前向き無作為割付(prospective randomized trial)試験では奏効率、奏効期間、あるいは生存期間の優位な相違はありませんでした(1)(証拠水準:1iiA).全身状態(performance status)の良好なそして遠隔転移の臓器部位数が限られた患者さんでは、ほかの患者さんと比較して、化学療法を投与されたときの奏効率や生存率は良好です(2).ビノレルビン(vinorelbine)とシスプラチン(cisplatin)の併用、ビンデシン(vindesine)とシスプラチン(cisplatin)の併用、ビノレルビン(vinorelbine)単剤の前向き無作為比較試験では、ビノレルビン(vinorelbine)とシスプラチン(cisplatin)の併用は、他の2つと比較して奏効率が30%と中間生存期間が40週間と改善したと報告されました(3)(証拠水準:1iiA). タキサン(taxane)とプラチナ製剤(シスプラチン(cisplatin)やカルボプラチン(carboplatin))の併用化学療法は、肺癌に対して比較的高い奏効率を示し、有意に1年生存率を改善し、症状の改善を示しました(4).多施設研究の第3相試験では、シスプラチン(cisplatin)とパクリタキセル(タキソール:paclitaxel:Taxol)の併用化学療法は、以前のシスプラチン(cisplatin)とエトポシド(etoposide)の併用化学療法に比較して高い奏効率を示しました(5)(証拠水準:1iiDi).臨床研究の結果よりプラチナ製剤(シスプラチン(cisplatin)やカルボプラチン(carboplatin))の2剤併用療法は、プラチナ単剤や他の薬剤の単剤に比較して優れていることがわかりました(6)。 支持療法単独と比較した時、シスプラチン(cisplatin)と組み合わせた併用化学療法には臨床上の長所があります.しかし、高齢者では多くの器官の機能的予備力の減少や併存する病的状況によって治療が禁忌になるでしょう.しばしば、この集団の患者さんは、治療に耐えられないので化学療法を勧められません。いくつかの研究において、70歳かそれ以上の患者さんと70歳未満の患者さんを比較して,高齢者において白血球減少症や体重減少や神経精神病学の副作用があるにもかかわらず,同様の奏効率,生存期間,生活の質を示しました(7,8).70歳以上の非小細胞肺癌(NSCLC)の無作為割付比較研究(randomized trial)において,支持療法に比較して,ビノレルビン(vinorelbine)単剤療法は優れた生存期間を示しました(中央生存期間28週対21週)(9)(証拠水準:1iiA).複数医療機関によるイタリアの集団は、698人の高齢者に対して無作為割付比較試験(rondomized
study)を行って,ビノレルビン(vinorelbine)とゲミシタビン(gemcitabine)の併用化学療法と,単剤のビノレルビン(vinorelbine)および単剤のゲミシタビン(gemcitabine)の両方を比較しました(10).おのおのの単剤に較べて,併用化学療法は生存期間の延長を示しませんでした(10)(証拠水準:1iiA)併用化学療法を受けた患者さんの死亡の危険比(hazard
ratio)はビノレルビン(vinorelbine)単剤と比較して1.17(95%信頼区間(CI)=0.95-1.44)であり,ゲミシタビン(gemcitabine)単剤と比較して1.06(95%信頼区間(CI)=0.86-1.29)でした。これまでの研究は、受容可能な副作用で、高齢者の患者さんがプラチナ製剤(シスプラチン(cisplatin),カルボプラチン(carboplatin)など)を組み合わせた併用化学療法で,若い患者と同じ利益を受け取ることを示唆しています(11)。プラチナ合成物への禁忌を持った患者では、非プラチナ製剤との組み合わせが単剤のビノレルビン(vinorelbine)あるいはゲミシタビン(gemcitabine)より優秀であるという証拠はありません。単剤と多剤併用化学療法のいずれを使用するかは、年齢よりもむしろ全身状態(PS:performance
status)および合併疾患に基づくべきです(12)。 前向きくじ引き試験(prospective randomized study)で、 IIIB 、IV期非小細胞肺(NSCLC)癌に汎用されている、プラチナ製剤と組み合わせた4種類の多剤併用化学療法、つまり、シスプラチン(cisplatin)とパクリタキセル(タキソール:paclitaxel:Taxol)、ゲミシタビン(gemcitabine)とシスプラチン(cisplatin)、シスプラチン(cisplatin)とドセタキセル(タキソテール:docetaxel:Taxotere)、カルボプラチンとパクリタキセルの比較をしました(13).どの併用も、他に比べて奏効率が高いことや中間生存期間が長いことを示しませんでした(13)(証拠水準:1iiA).1,158人の対象患者全員の奏効率は1.9%で,一方,中間生存期間は7.9か月(95%信頼区間(CI),7.3から8.5か月)でした.全身状態(PS:performance status)が2の患者さんは,0か1の患者さんに較べて有意に副作用が強く,生存期間も短かったです(13).カルボプラチン(carboplatin)とパクリタキセル(タキソール:paclitaxel:Taxol),ビノレルビン(vinorelbine)とシスプラチン(cisplatin)を比較したもう一つの前向き無作為割付試験(prospective randomized study)では、この2つの標準的併用化学療法で有意な効果の差を示すことはできませんでした(5)(証拠水準:1iiDi).1件の前向き無作為割付試験(prospective randomized study)では、非扁平上皮性の非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんを対象に、カルボプラチン(carboplatin)およびパクリタキセル(タキソール:paclitaxel:Taxol)にベバシズマブ(bevacizumab)を併用する化学療法と、併用しない化学療法とが比較されました。組織学的に扁平上皮癌を有する患者さんは、以前の複数の研究において、その群で重大な出血性合併症が確認されたために除外されました。2回目の予定されていた中間解析は、要約の形で報告されました(14)。842人の患者が登録し、有効割合(10% 対27%、P<0.0001)、無増悪生存期間(4.5ヵ月対 6.4ヵ月, P<0.0001)、および生存期間中央値(10.2ヶ月対 12.5ヶ月, P=0.0075)
において、ベバシズマブ(bevacizumab)群の方が優れていました。5名の死亡者の死因は喀血であり、いずれもベバシズマブ(bevacizumab)群に属していました。 これらの結果は転移性のそして局所進行性非小細胞肺癌(NSCLC)に対する化学療法のさらなる評価を支持します。しかし、現在のプラチナ製剤を組み合わせた化学療法の併用効果からして、標準治療といえる特別の併用化学療法はありません.対象となる患者さんをプラチナ製剤を組み合わせた化学療法や、非プラチナ製剤を組み合わせた化学療法の役割を評価する臨床研究に参加してもらうことを奨励するべきです.臨床研究以外では、化学療法は全身状態(performance status)が良好で、評価可能病変がある患者さんで、予想される危険と限られた利益しかないことを良く知った上で、このような治療を望んだ患者さんに限られるべきです. 放射線療法は非小細胞肺癌(NSCLC)が局所を巻き込んだ症状、例えば気管、食道、気管支圧迫、骨あるいは脳転移、疼痛、声帯麻痺、喀血、上大静脈症候群を緩和するのに有効でしょう.症例の中には、気道の中枢閉塞性病変を軽快するのに気管支内レーザー治療と近接照射の併用か片方が用いられています(15).このような治療は、ほかは機能的に問題のない患者さんにとって、現在ある良好な生活を延長するために重要でしょう.切除可能な原発性肺癌と単発脳転移が同時に存在する稀な患者さんでは、原発性肺癌の切除と、単発脳転移の外科的切除が適応とされます.そして、適切な術後化学療法と原発性肺癌部への放射線療法の両方か片方、(および正常脳組織に対する長期中毒性効果を避けるために1日量18から20グレイ(Gy:180−200cGy)に分割した術後の全脳照射が正常脳組織に対して行われます(16,17). 化学療法中に癌が進行した場合、または化学療法の候補でないか、化学療法を拒否した患者さんにとっては、胸部放射線療法は、胸腔内の癌による症状を緩和するために有効な治療法です。患者さんのほとんどは原発腫瘍または局所リンパ節転移による呼吸困難、咳、喀血などの症状があります。しかし、どのような分割照射法が使用されるべきかに関する共通認識はありません。さまざまな多分割治療方法で同様の症状緩和が得られるようですが(18,19)、単回照射療法は、低分割照射法または標準分割法に較べて、症状緩和のためには不十分でしょう(20)。高線量放射線療法を実施した全身状態(performance status)が良好な患者さんの場合、いくらかの生存期間増加の証拠もあります(18,19)。 綿密な観察下に置いた症状のない患者さんでは、症状あるいは腫瘍増大の兆候があるまでは治療はしばしば据え置かれます.
注釈:この章のいくつかの引用には証拠のレベルがついています.PDQ (Physican Data Query:医師情報質問)編集委員会は、読者が治療戦略の報告された結果の信憑性を判断するために、公式順位分類を使用します.詳細については、証拠水準のPDQ要約を参照してください. 再発非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんの多くは臨床試験の資格があります.放射線治療は限局した腫瘍による症状をうまく軽減させるでしょう. 原発性非小細胞肺癌(NSCLC)の外科切除後で、頭蓋外肺癌の兆候がない単発性脳転移の患者さんは、脳転移の外科切除と術後の全脳照射で無病生存期間の延長を達成することができます(1,2).この状況で切除不能な脳転移は放射線外科療法(radiosurgery)で治療されるかも知れません(3).長期生存の可能性が低いので、放射線療法は1日量が18から20グレイ(Gy:180 から200
cGy)の通常の方法で行われるべきです.つまり、短期間で1日量が高い方法(低分割照射)は副作用がでる危険が高くなるので避けるべきです(4).外科手術療法に適さない患者さんの多くは通常の全脳照射を受けるべきです.全身状態の良い小さい転移の選択された患者さんは、立体的放射線外科療法(stereotactic radiosurgery)を考えることができます(5). 切除と術後放射線療法で治療した患者さんの約半数は脳に再発します.このなかには更なる治療の対象になる人もいます(6).全身状態(performance
status)が良好で脳以外に進行している転移がない選択された患者さんでは、治療の選択肢は再手術あるいは立体的放射線外科療法(stereotactic radiosurgery)があります(3,6).ほとんどの患者さんでは、追加放射線療法が考慮されますが.しかし、この治療の緩和効果は限られています(7)(証拠水準:3iiiDii). 最初に切除した肺癌からの単発肺転移は少ないです.原発性肺癌患者さんの肺は、しばしば2つ目の原発性肺癌の発生部位となります.新しい病変が新たな原発性肺癌か転移かを確定するのは難しいでしょう.研究によると、多くの患者さんにとって、新たな病変は2次原発性肺癌であり、引き続き手術を行うことで長期生存を達成する患者さんがいます.ですから、最初の原発性肺癌が制御できていれば、可能であれば2つ目の原発性肺癌は切除されるべきです(8,9). 化学療法の使用は、転移のある患者さんに対して、客観的効果と生存期間の少しの延長をもたらします(10)(証拠水準:1iiA).症状に対する効果を調べた研究では、主観的な症状の改善は、客観的効果より頻繁にもたらされます(11,12).全身状態が良好で症状が再燃している、正確な情報を与えられた患者さんに、症状の緩和を目的としたプラチナ製剤(platinum)と組み合わせた化学療法の治療を勧めてよいでしょう.プラチナ製剤(platinum)と組み合わせた化学療法の後で再発したら、次の治療が考えられます.2つの前向き無作為割付試験(prospective randomized)によりドセタキセル(タキソテール:docetaxel:Taxotere)を使用することがビノレルビン(vinorelbine), イフォスミド(ifosfamide)あるいは最善の支持療法に比較して生存期間を延長することが示されました(13,14).しかし、次の治療を行うときの適切な患者選択基準は確定していません(15).ドセタキセル(docetaxel)との比較で、ペメトレキセド(pemetrexed)の劣っていないことを実証するよう意図された、患者さん571人の第V相無作為割付試験(randomized)では、有効率、無病変進行生存期間または全生存期間において、差が示されませんでした(16)(証拠レベル:1iiA)。 プラチナ製剤(platinum)を含んだ化学療法で治療された、上皮成長因子受容体(EGFR:epidermal
growth factor receptor)を発現している非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんを対象としたエルロチニブ(erlotinib)(すなわち、毎日150mg経口投与)の第U相研究で、12.3%(95%信頼区間[CI: confidence interval]、5.1〜23.7%)の客観的有効率が報告されました(17)(証拠レベル:3iiiDiii)。薬物に関連した皮膚発疹および下痢が、それぞれ患者の75%、56%で観察されました。無作為割付(randomized)した偽薬(placebo)対照試験の予備報告により、エルロチニブ(erlotinib)は偽薬(placebo)群と比較して、初回または二次化学療法後の非小細胞肺癌患者さんの生存期間を延長させることが示されました(18)。 731人の患者が参加したこの試験における全生存期間中央値は、6.7カ月 対 4.7カ月でありました(危険比[HR:hazard
ratio]=0.73、95%信頼区間[CI: confidence interval]=0.6〜0.87、P=0.001)。無病気進行生存期間中央値は、2.23カ月 対 1.84カ月でありました(危険率(HR)=0.6、95%信頼区間[CI: confidence interval]=0.51〜0.73;P<0.001)(18)(証拠レベル:1iiA)。カルボプラチン(carboplatin)とパクリタキセル(paclitaxel)(19)、またはシスプラチン(cisplatin)とゲムシタビン(gemcitabine)(20) と併用した場合、エルロチニブ(erlotinib)は、以前に治療されていない進行期または転移性非小細胞肺癌患者さんにおいて有効率、無病気進行の生存期間、または全生存期間を改善しないことが明らかにされました(19,20)(証拠レベル:1iiA)。 ゲフィチニブ(gefitinib)は、プラチナ(platinum)およびタキサン(taxan)系化学療法を既に受けた非小細胞肺癌(NSCLC)患者さんの9.6%から19%に反応をもたらします(21,22)(証拠レベル:3iiiDiii)。また、以前に非小細胞肺癌(NSCLC)を治療された1,692人においてゲフィチニブ(gefitinib)投与群 対 偽薬(placebo)群を評価した1件の無作為割付試験(randomized)第V相試験では、ゲフィチニブ(gefitinib)が全生存を改善しないことが示されました(危険率(HR)=0.89、P=0.11、ゲフィチニブ(gefitinib)投与群と偽薬(placebo)群に対する中央値はそれぞれ5.6カ月対 5.1カ月)という報告があります(23)(証拠レベル:1iiA)。さらに、標準的なプラチナ(platinum)併用化学療法へのゲフィチニブ(gefitinib)の追加効果を比較した2件の無作為割付試験(randomized)では、ゲフィチニブ(gefitinib)追加により有効率、無病気増悪生存期間、全生存期間における改善はみられませんでした(24,25)(証拠レベル:1iiA)。 エルロチニブ(erlotinib)およびゲフィチニブ(gefitinib)に対する客観的有効率は、非喫煙者、女性、腺癌および細気管支肺胞上皮癌の患者さんにおいて高いです(26-30)。有効率は、EGFR受容体のチロシンキナーゼドメイン(tyrosine
kinase domain)周囲の変異の存在や(27-29)K-RAS変異がないことと関連しています(30)(証拠レベル:3iiiDii)。
薬剤名) 一般名:略語(商品名:略語) シクロフォスファミド:CPA(エンドキサン) 重要:この情報は、主として医師、および他の医療従事者のためのものです。あなたがこの話題に関して質問をお持ちの場合、あなたの主治医に尋ねてください。 2006年3月最新版(2006年4月更新)翻訳:秋葉 直志 |