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非小細胞肺癌

2004年6月最新版2004年5月19日更新


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治療選択の概観

非小細胞肺癌では、ほとんどの限局型の癌を除いて標準的治療の結果は不良です.新たに診断された非小細胞肺癌患者さんは新しい型の治療を評価するための潜在的な候補者です.外科療法はこの疾患の主たる治癒可能性の高い治療選択です.放射線療法は少数の患者さんに治癒を、そして多くの患者さんに姑息的効果をもたらすことができます.進行期疾患では、化学療法は中間生存期間の軽度の改善をもたらしますが、全体の生存期間は不良です(1,2).化学療法は疾患関連症状の短期間の改善をもたらすことが報告されました.あるひとつの研究によると、多剤併用療法による症状改善があることは統計学的には有意ですが、客観的効果とは無関係です(3,4).生活の質(quality of life)に関する化学療法の貢献に関してはさらに研究が必要です.

評価中の現在の領域には、局所(外科手術療法)、局所治療(放射線療法)、全身的(化学療法と免疫療法)治療、開発中のより効果的全身療法の組み合わせを含んでいます.パクリタキセル(paclitaxel)(タキソール(Taxol))、ドセタキセル(docetaxel)(タキソテール(Taxotere))、トポテカン(topotecan)、イリノテカン(irinotecan)、ビノレルビン(vinorelbine)、ゲミシタビン(gemicitabine)を含むいくつもの新薬が進行非小細胞肺癌の治療に有力であることが示されています.早い時期の肺癌患者さんにおける上気道・消化管の2次原発癌の化学防御も研究されています(5)

治療を"標準" あるいは "臨床研究中"に分離指定することは、損害賠償決定のためのものではありません.


潜在非小細胞肺癌

潜在非小細胞肺癌は次の臨床病期集団として定義されています.

TX, N0, M0

潜在肺癌では、診断的評価は原発性肺癌の部位と性格を決定するために、必要なら綿密な経過観察(例.CT(電子計算断層写真探査)検査)を伴った胸部X線撮影と選択的気管支鏡が含んでいます.このようにして発見された肺癌は通常早期であり外科手術療法で治ります.原発性肺癌を見つけた後は、患者さんの肺癌の病期を決定して治療方法を決めます.治療は似た病期の非小細胞肺癌で勧めるものと同じです.


0期非小細胞肺癌

0期非小細胞肺癌は次の臨床病期集団として定義されています.

Tis, N0, M0

0期非小細胞肺癌は肺の上皮内癌と同じです.これらの腫瘍は定義からして非浸潤癌であり転移能力はないので、外科的切除で治ります.しかし、2番目の原発癌の出現する可能性が高く、またこれらの多くは切除できません.ヘマトポルフィリン(hematoporphyrin)誘導体を用いた内視鏡による光線療法は、慎重に選択された患者さんでは、外科手術療法に代わる、一つの選択肢になると記載されています.この研究評価中の治療は、気管支内に1cm未満の進展をしている非常に早期の中心型肺癌には最も有効と思われます.早期非小細胞肺癌に対するこの治療方法の効果はまだ証明されていません.

標準治療の選択肢:

  1. これらの患者さんは2番目の肺癌発生の危険が高いので、なるべく正常肺組織を温存するための、可能な限り最小範囲の外科手術的切除(区域切除あるいは楔状切除)
  2. 内視鏡による光線力学療法


T期非小細胞肺癌

T期非小細胞肺癌は次の臨床病期集団として定義されています

T1, N0, M0 あるいは T2, N0, M0

外科手術療法はT期非小細胞肺癌患者さんに対する治療選択肢です.患者さん全身の慎重な術前評価、特に患者さんの肺予備能は外科療法の利益を考慮するのに重大です.手術直後の死亡率は年齢に関係し、肺葉切除では3%から 5%であると考えられます(1).肺機能の悪い患者さんでは原発性肺癌の区域あるいは楔状切除が考えられるでしょう.肺癌研究集団(Lung Cancer Study Group)は、T期肺癌患者さんに対して、肺葉切除と縮小切除を比較する無作為割付試験(randomized study)を行いました(LCSG−821).この研究の結果、肺葉切除の患者さんは縮小手術の患者さんに比較して局所再発は減少しましたが、全体の生存率には有意な差はありませんでした(2).同様の結果は無作為割付試験でない解剖学的区域切除と肺葉切除の比較で報告されました(3).肺癌が3cmを越える患者さんでは肺葉切除が生存率に寄与しましたが、3cmより小さい肺癌ではそうではありませんでした.しかし、原発性肺癌の大きさに関わらず、肺葉切除後の局所あるいは所属リンパ節再発は有意に減少しました.

標準治療の選択肢:

  1. 肺葉切除、区域切除、楔状切除、適切なら袖状切除.
  2. 根治放射線療法(潜在的に外科的に切除可能だが、内科的に手術適応外の患者さん用).
  3. 外科切除後の追加化学療法の臨床研究
  4. 追加化学防御の臨床研究
  5. 内視鏡を用いた光線力学療法(厳選されたT1, N0, M0の患者さんで臨床評価中).


U期非小細胞肺癌

U期非小細胞肺癌は次の臨床病期集団として定義されています

T1, N1, M0 あるいは  T2, N1, M0 あるいは  T3, N0, M0

U期非小細胞肺癌の患者さんには外科手術療法が選択されます.患者さんの全身状態を、術前に慎重に評価すること、特に患者さんの肺の予備力は外科療法の利益を考慮する上で重要です.術直後の死亡率は年齢に関係しますが、肺全摘術で5%から8%、肺葉切除で3%から 5%が予想されます.

標準治療の選択肢:  

  1. 肺葉切除、肺全摘術、区域切除、楔状切除、適切なら気管支袖状切除.
  2. 根治放射線療法(外科手術で切除可能だが、内科的に手術適応外の患者さん用).
  3. 治癒切除に引き続き行う、他の療法を併用するかしないかでの追加化学療法の臨床研究
  4. 治癒切除に引き続き行う、放射線療法の臨床研究


VA 非小細胞肺癌

V期非小細胞肺癌は次の臨床病期集団として定義されています

T1, N2, M0 あるいは T2, N2, M0 あるいは T3, N1, M0 あるいは T3, N2, M0

臨床病期、VA N2の患者さんの5年生存率は全体で10%から15%です.しかし、巨大縦隔リンパ節腫大(胸部X線で確認できる)があると5年生存率は2%から5%です.臨床環境に応じて、VA期の非小細胞肺癌患者さんの考えられる治療の第1選択は、放射線療法、化学療法、外科手術療法、そしてこれらを合わせた集学的治療です.これらの患者さんの多くは放射線療法で治癒しませんが、60グレイ(Gy:6,000cGy)の標準的分割照射された患者さんに5%から10%の生存率の向上が再現性をもって示されています.そして、有意な効果がしばしば見られます.良好な全身状態の患者さんで、外科的に切除不能である肺癌であることが開胸手術をしてはじめて分かった患者さんは、最も放射線治療で利益を得る可能性が高いです.

標準治療の選択肢:

  1. 巨大リンパ節腫大のない切除可能な患者さんに対する外科手術療法単独(22-24).
  2. 放射線療法単独、外科手術前化学療法に手術を加える治療に適合しない患者さん用(1,2).
  3. 他の療法と併用した化学療法(4-6,12).


肺尖部胸壁浸潤肺癌(Superior sulcus tumor)

T3, N0 あるいは N1, M0

特殊な方法が利益をもたらすもうひとつの部類は肺尖部胸壁浸潤肺癌(Superior sulcus tumor)で、通常遠隔転移が少ない傾向のある局所浸潤肺癌です.そのために、局所療法で治癒させうる潜在的な可能性があり、特にT3, N0肺癌に言えます.放射線療法単独、あるいは外科手術療法が先行するか引き続いた放射線療法、あるいは外科手術療法単独(厳選された症例)では治癒する患者さんもいます、そして研究によると5生存率は20%でそれ以上の研究がいくつかあります.この領域のより浸潤した肺癌患者さんは、つまり真のパンコースト腫瘍(Pancoast tumor)では、予後はさらに悪いし、通常,外科手術療法主体では利益は得られません.放射線部位での著効(complete response)を確認するのと、壊死組織を切除するために経過観察としての外科手術療法は用いられます.とくに,T4、N0またはN1の肺癌患者さんは外科手術療法後の,化学療法と放射線療法の同時併用はもっともよい結果を生みます(証拠水準:3iiiDi).

標準治療の選択肢:

  1. 放射線療法と外科手術療法.
  2. 放射線療法単独.
  3. 外科手術療法単独(選択された症例).
  4. 他の療法を併用した化学療法.
  5. 併用療法の臨床研究.


胸壁浸潤肺癌 (Chest wall tumor)

T3, N0 あるいは N1, M0

胸壁に直接浸潤している大きな原発肺癌を持った選択された患者さんは、外科手術療法で腫瘍が完全切除できたなら長期生存を達成することができます.

標準治療の選択肢:

  1. 外科手術療法
  2. 外科療法と放射線療法.
  3. 放射線療法単独.
  4. 他の療法を併用した化学療法.


VB期非小細胞肺癌

VB期非小細胞肺癌は次の臨床病期集団として定義されています

全てのT,N3,M0 あるいは T4,全てのN,M0

VB期非小細胞肺癌は外科手術療法単独では利益を得られません、そして肺癌の場所と全身状態次第ですが、最初に化学療法を行う、化学療法と放射線療法を行う、あるいは放射線療法単独を行うことが最も良いです.全身状態の良好な患者さんは組み合わせた方法の治療を考慮するべきでしょう.しかし、癌性胸水の患者さんは放射線療法の対象には通常なりません、そして通常W期の患者さんと同様に治療されます.V期非小細胞肺癌の切除不能患者さんを対象に多くの無作為研究で、放射線療法単独より、シスプラチン(cisplatin)を組み合わせた外科手術前化学療法(neoadjuvant)あるいは化学療法と放射線療法の同時併用の方が生存率を改善することが示されました .11の無作為割付臨床研究(randomized clinical trial)の患者さんの多施設研究分析(meta-analysis)では、放射線療法単独に比較して、シスプラチンを組み合わせた化学療法に放射線療法を加えると死亡率が10%減少する結果がでました. 

標準治療の選択肢:

  1. 放射線療法単独
  2. 放射線療法を併用した化学療法
  3. 化学療法と同時併用の放射線療法に引き続き手術療法
  4. 化学療法単独.


W 期非小細胞肺癌

W期非小細胞肺癌は次の臨床病期集団として定義されています

全ての T, 全てのN, M1 

シスプラチンと組み合わせた、あるいはカルボプラチンと組み合わせた緩和目的の化学療法は、転移した非小細胞肺癌に対して主観的で客観的な奏効と関連しています.いくつかの無作為割付試験(randomized trial)では、化学療法は支持療法単独に比較して、短期生存期間という幾らかの利益を手術不能なVB 期かW期肺癌患者にもたらすことが示されています.副作用は様々で、結果はほとんどのプラチナ製剤(シスプラチンやカルボプラチン)と組み合わせた多剤併用療法ではほぼ同様です.5つの以前からあるシスプラチンと組み合わせた化学療法の前向き無作為割付(prospective randomized trial)試験では奏効率、奏効期間、あるいは生存期間の有位な相違はありませんでした(証拠水準:1iiA).全身状態の良好なそして遠隔転移の臓器部位数が限られた患者さんでは、ほかの患者さんと比較して、化学療法を投与されたときの奏効率や生存率は良好です.ビノレルビン(vinorelbine)とシスプラチンの併用、ビンデシン(vindesine)とシスプラチンの併用 、ビノレルビン単剤の前向き無作為比較試験では、ビノレルビンとシスプラチンの併用は、他の2つと比較して奏効率(30%)と中間生存期間(40週間)と改善したと報告されました(証拠水準:1iiA).

標準治療の選択肢:

1. 外部放射線療法、腫瘍増大による局所症状の一時的緩和目的.
2. 化学療法.次の治療方法はほぼ同様の生存期間をもたらします:
     シスプラチンとビンブラスチンとマイトマイシン 
     シスプラチンとビノレルビン
     シスプラチンとパクリタキセル
     シスプラチンとドセタキセル
     シスプラチンとゲミシタビン
     カルボプラチンとパクリタキセル
3. 新しい併用化学療法や他の全身薬剤の役割を評価する臨床研究.前段階の結果は新しい非プラチナ製剤を組み合わせた化学療法が標準プラチナ製剤を組み合わせた化学療法とほぼ同様の奏効率と生存期間を示しました
4. 気道閉塞性病変に対する気管支内レーザー療法と近接照射の両方か片方


再発非小細胞肺癌

再発非小細胞肺癌患者さんの多くは臨床試験の資格があります.放射線治療は限局した腫瘍による症状をうまく軽減させるでしょう.

原発性非小細胞肺癌の外科切除後で、頭蓋外肺癌の兆候がない単発性脳転移の患者さんは、脳転移の外科切除と術後の全脳照射で無病生存期間の延長を達成することができます.この状況で切除不能な脳転移は放射線外科療法(radiosurgery)で治療されるかも知れません.長期生存の可能性が低いので、放射線療法は1日量が18から20グレイ(Gy:180 から200 cGy)の通常の方法で行われるべきです.一方、短期間で1日量が高い方法(低分割照射)は副作用がでる危険が高くなるので避けるべきです.外科手術療法に適さない患者さんの多くは全脳照射を受けるべきです.全身状態の良い小さい転移の選択された患者さんは立体的放射線外科療法(stereotactic radiosurgery)を考えることができます.

標準治療の選択肢:

1. 姑息的な放射線療法
2. 化学療法単独.
以前に化学療法を受けていない患者さんは、次の治療が、ほぼ同様の生存期間をもたらします:

     シスプラチンとビンブラスチンとマイトマイシン
     シスプラチンとビノレルビン
     シスプラチンとパクリタキセル
     シスプラチンとゲミシタビン
     カルボプラチンとパクリタキセル
     シスプラチンとドセタキセル
3. 孤立脳転移の外科手術療法(厳選された患者さん)
4. 気管支内病変に対するレーザー療法あるいは内部照射療法
5. 立体的放射線外科療法(厳選された患者さん)


薬剤名) 一般名:略語(商品名:略語)

シクロフォスファミド:CPA(エンドキサン)
イホスファミド:IFM(イホマイド)

ゲムシタビン:GEM(ジェムザール)
テガフール・ウラシル配合剤(ユーエフティ:UFT)

ビンクリスチン:VCR(オンコビン)
ビンブラスチン:VLB、VBL(エクザール)
ビンデシン:VDS( フィルデシン)
ビノレルビン:VNR(ナベルビン)
パクリタキセル:PTX (タキソール:TAX、TXO)
ドセタキセル:DTX(タキソテール:TXT)

エトポシド:VP-16、ETP(ラステット、ベプシド)
イリノテカンCPT-11(カンプト、トポテシン)
トポテカン
アムルビシン:AMR

ドキソルビシン、アドリアマイシン:ADR、ADM 、DXR、DOX(アドリアシン)
マイトマイシン:MMC(マイトマイシン)
エピルビシン:EPI(ファルモルビシン)

シスプラチン:CDDP(ランダ、ブリプラチン)
カルボプラチン:CBDCA(パラプラチン)

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重要:この情報は、主として医師、および他の医療従事者のためのものです。あなたがこの話題に関して質問をお持ちの場合、あなたの主治医に尋ねてください。

2004年6月最新版2004年5月19日更新)翻訳:秋葉 直志