医師用情報
小細胞肺癌 治療

2004年7月最新版(2003年9月29日更新)

この情報は主に医師やほかの医療従事者用です。
NCIの許可を得て翻訳した情報です。  | ホーム  |


治療選択概要

この章のいくつかの引用には証拠水準がついています。PDQ(Physican Data Query:医師情報質問)編集委員会は、治療戦略の報告された結果を判断するために、公式順位分類を使用します。(詳細は、PDQ要約の証拠水準を参照してください。)

小細胞肺癌においては、患者さんの多くは取り得る最良の治療にもかかわらずその癌のために亡くなります。小細胞肺癌の生存期間改善のほとんどは、最も入手可能で、受け入れられる療法を改善することを試みた臨床研究に起因します。そのような研究へ患者さんが参加することは非常に望ましいことです。

小細胞肺癌での臨床試験で評価中の治療には、胸部放射線療法時期の研究(限局期肺癌の患者さん用)や、I期患者さんに対する外科療法の役割の評価や、現在の化学療法の様々な使用量のことや、化学療法の新しい投与計画のことや、標準薬と新薬の組み合わせた新しい科学療法のことがあります。(1)現在進行中の臨床研究はNCIのホームページにあります。

前向き無作為割付試験においても,高容量の化学療法による定常的な生存期間の有効性を示すことができませんでした(2,3).いくつかの化学療法研究の後ろ向き再評価は,奏効率や生存期間の定常的な改善を示しませんでした(4)(評価水準:1iiA).自家(autologous)骨髄移植を用いた強力な化学療法でさえ小細胞肺癌患者さんの生存期間を改善することを明らかに示すことはできませんでした(5)。高容量のシスプラチンcisplatin、ビンクリスチンvincristine、ドキソルビシンdoxorubicin、エトポシドetoposideの併用を、通常容量のサイクロフォスファミドcyclophosphamide、ドキソルビシンdoxorubicin、ビンクリスチンvincristine/エトポシドetoposide、シスプラチンcisplatinCAV/EP)の併用を比較した研究では、高容量にするほど奏効率は改善しますが、その代わり治療関連死亡率が増加し、無進行期間や総合生存期間の改善は認められませんでした(6)(証拠水準:1iiA)。

治療が「標準」または「臨床試験中」というPDQでの区別は、損害賠償決定のためのものではありません。


限局期 小細胞肺癌

限局期小細胞肺癌は、原発巣のある片側胸部、縦隔、鎖骨上窩リンパ節に限局した腫瘍を意味しており、「耐え得る」放射線療法範囲内にあります。この用語に関しては国際的に受け入れられた定義がなく、胸水があったり、大きな肺癌、対側鎖骨上窩リンパ節を持つ患者さんは治療集団により含まれたり、除外されたりします。

治療選択肢

  1. 胸部放射線療法を伴った多剤併用化学療法(完全奏効例に対する全脳照射を行うかもしれません)。
     ・EC:エトポシド + シスプラチン + 45グレイ胸部放射線療法(3,7)
  2. 特に肺機能低下あるいは全身状態不良な患者さんに対する、多剤併用化学療法(完全奏効例に対する全脳照射を行うかもしれません).
  3. 病期I患者さんのための、化学療法、または化学療法と胸部放射線療法に引き続いた外科手術療法(完全奏効例に対する全脳照射を行うかもしれません)(16-19)

臨床評価中の治療選択肢

限局期小細胞肺癌に対する積極的な臨床試験評価分野には、新薬治療計画、現在薬剤の投与量、原発巣の外科手術療法、新しい放射線療法計画および方法(例えば、3次元の治療計画)、胸部放射線療法時期があります(27-28)。現在進行中の臨床研究に関しては米国国立癌研究所(NCI)のウェッブサイト(ホームページ)にあります。


進展期 小細胞肺癌

進展期小細胞肺癌は、上記の限局期疾患の定義内に含まれない程広がりすぎた肺癌を意味しています。遠隔転移(M1)を持つ患者さんは、常に進展期疾患を持っていると考えられます(1,2)。

標準治療選択肢

  1. 次の組み合わせを用いた多剤化学療法の1つで、完全奏効患者さんに対する全脳照射(PCI, prophylactic cranial irradiation)を併用するか併用しない。以下の療法により同様な生存期間結果がでます。
    • CAV:サイクロホスファミドcyclophosphamide+ ドキソルビシンdoxorubicin + ビンクリスチン vincristine(26,27)
    • CAE:サイクロホスファミドcyclophosphamide + ドキソルビシンdoxorubicin + エトポシド etoposide(28 )
    • EPまたはEC:エトポシドetoposide+ シスプラチンcisplatinまたはカルボプラチンcarboplatin (29,30)
    • ICE:イフォスミド ifosfamide  + カルボプラチンcarboplatin + エトポシドetoposide(31)
    • 以下の治療は、同様な生存期間結果を生み出すけれども、それほど徹底的に研究されていないか、または使用頻度が少ない
    • サイクロホスファミドCyclophosphamide + ドキソルビシンdoxorubicin+ エトポシドetoposide+ ビンクリスチンvincristine(32)
    • CEV:サイクロホスファミドcyclophosphamide + エトポシドetoposide+ ビンクリスチン vincristine(33)
    • 単剤療法エトポシドetoposide(21)
    • PET:シスプラチンcisplatin+エトポシドetoposide+ パクリタキセルpaclitaxe(34)
  2. 化学療法により急速に症状が緩和されそうにない転移部位、特に脳、硬膜外、および骨転移部位に対する放射線療法
  3. 以前に標準化学療法によって治療された患者さんにおいて、効果的な新しい薬剤の識別は難しい。なぜなら、薬剤の効果は、知られている効力でさえ、以前に未治療であった患者さんより低いからです。このことより、内科的に安定している進展疾患を持つ患者さんは、評価中の新薬で治療し、もし反応がないなら、早期に効果がでるように標準的治療に切り換えて治療するという提案があります(35)。このような戦略は、進展期患者さんが慎重に選ばれる限り、生存期間は最初の標準治療の生存期間と同等であることより、実現可能であることが明らかにされました(36-38)。他の腫瘍や前臨床期小細胞肺癌モデルの新薬の効果によって、または類似薬の効果によって、各種の他の戦略が、提案されました(39)。現在評価を受けている効果的な単剤には、パクリタキセルpaclitaxelとトポテカンtopotecanがあります(40,41)。

臨床評価中の治療選択肢

進展期小細胞肺癌での積極的な臨床評価の分野は、新薬の治療計画、高容量、別の薬の治療計画、高容量化学療法の評価を含みます。進展期の長期の多施設研究分析による、有効率またはより強い化学療法治療による生存期間の改善があるという一貫している証拠は示されませんでした(42)(証拠水準:1iiA)。現在進行中の臨床研究に関しては米国国立癌研究所(NCI)のウェッブサイト(ホームページ)にあります。


再発 小細胞肺癌

標準治療選択肢

  1. 姑息的放射線療法(12)
  2. 救助的(salvage)化学療法は、以前に標準化学療法に効果のあった患者さんにいくらかの症状緩和の利点をもたらします(2,4-9)
  3. 気管支内レーザー療法、気管支内ステントおよび/または気管支腔内照射による局所症状の緩和(10,11)
  4. I相あるいは第II相の臨床研究。 現在行われている臨床研究についての情報は米国国立癌研究所(NCI)のウェッブサイト(ホームページ)にあります。

薬剤名) 一般名:略語(商品名:略語)

シクロフォスファミド:CPA(エンドキサン)
イホスファミド:IFM(イホマイド)

ゲムシタビン:GEM(ジェムザール)
テガフール・ウラシル配合剤(ユーエフティ:UFT)

ビンクリスチン:VCR(オンコビン)
ビンブラスチン:VLB、VBL(エクザール)
ビンデシン:VDS( フィルデシン)
ビノレルビン:VNR(ナベルビン)
パクリタキセル:PTX (タキソール:TAX、TXO)
ドセタキセル:DTX(タキソテール:TXT)

エトポシド:VP-16、ETP(ラステット、ベプシド)
イリノテカンCPT-11(カンプト、トポテシン)
トポテカン
アムルビシン:AMR

ドキソルビシン、アドリアマイシン:ADR、ADM 、DXR、DOX(アドリアシン)
マイトマイシン:MMC(マイトマイシン)
エピルビシン:EPI(ファルモルビシン)

シスプラチン:CDDP(ランダ、ブリプラチン)
カルボプラチン:CBDCA(パラプラチン)

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2004年7月最新版(2003年9月29日更新) 翻訳:秋葉 直志