胸腺腫の治療

NCIの抜粋


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治療選択概観

多くの胸腺腫は、外科手術の際に診断され病期分類されます。手術に耐えられ、胸腺腫が疑われる縦隔腫瘍を持つ患者さんにとって、外科的切除は好ましい治療法です。ほとんど全ての病期TおよびUの患者さん、および病期Vの患者さんの27%〜44%では、腫瘍の完全切除を伴った胸腺全摘術が可能です。術後の放射線療法は、一般に病期UおよびVの患者さんに選択されます。病期Waの患者さんでは、完全切除されることはまれです。通常は、化学療法を併用する場合、しない場合がありますが、可及的切除術と術後の放射線療法が一般的です。

治療法が「標準」や「臨床評価中」とあるPDQ(Physican Data Query)の指標は、損害賠償決定のために使用するものではありません。


非浸潤胸腺腫

治療選択肢:

標準:

  1. 外科切除 : 全体が被膜に包まれている、非浸潤胸腺腫を完全切除すると、局所再発率は2%未満で、通常は治癒します1) 。重症筋無力症を持つ患者さんの手術を予定する場合、呼吸管理をしっかりすることで、その手術死亡率は最小限に押さえることができます。
  2. 放射線療法は、全体が被膜に包まれている胸腺腫の完全切除の後では施行されません。しかし、まれですが非浸潤胸腺腫が不完全切除された場合、そして手術の危険度が高いときには、放射線療法が考慮されるべきです。

浸潤胸腺腫

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治療選択肢:

標準:

手術可能:

  1. 可能であれば一塊とした外科切除を行います:重症筋無力症を持つ患者さんにおいては、外科的治療を計画するときに、呼吸状態の十分な管理を行うことにより、手術死亡率を最小限に押さえることができます。
  2. 外科切除の後には、外科的切除が完全であったかどうかに拘らず、特に病期V、病期Waの患者さんには、術後放射線療法が推奨されます。さかのぼり臨床研究により、術後に放射線療法を加えることにより、局所再発制御および生存を向上させることが示されています1)-3)。

手術不可能:
( 大静脈の閉塞、胸膜病変の存在、心膜播種などを伴う病期V、W )

  1. 放射線療法:生検後や切除を試みたあとに肉眼的に確認できる残存腫瘍を持った患者さんに対して、放射線療法により、60%〜90%が局所制御できると報告されています。放射線障害の危険性が増すために、60Gyを超える線量は避けるべきです。切除不能な病期V腫瘍の5年生存率は約50%と報告されています4)-6)。腫瘍の可及的切除を受けた患者さんと生検のみを受けた患者さんで予後に差があるかどうかは不明です4)-6)。

臨床評価中:

  1. 化学療法:充分な数の患者さんで化学療法の役割を評価した、第U相臨床試験は少ししかありません。しかし多剤併用化学療法は、著効または有効を達成することが報告されています。著効例のあるものは、引き続き行われた手術時に病理学的に確認されました。放射線療法後の病期Wまたは、局所進行性の再発腫瘍を持った30人の患者さんにおいて、PAC療法 (シスプラチン、ドキソルビシン、サイクロホスファミド)は 3例の著効例を含む50%の有効率を示しました。有効期間の中央値は12か月で、5年生存率は32%でありました7)。ADOC療法 (ドキソルビシン、シスプラチン、ビンクリスチン、サイクロホスファミド)は43%の著効例を含めて、92%(37人中34人)の有効率を示しました8) 。シスプラチンとエトポシドの併用化学療法による研究では、 16 人中 9人が有効で、中央有効期間は3.4年、中央生存期間は4.3年 でした9)。

併用化学療法が単剤化学療法より効果的であるかどうかは確かではありません。前向き比較試験は行われていません。一過性の効果は、ドキソルビシン、マイタンシン、シスプラチン、イフォスファミド、コルチコステロイドで報告されました。シスプラチン単独で、もしくは、プレドニゾンとの併用で治療された17人の患者さんのさかのぼり分析では、64%の有効率を示しました10)。しかしながら、シスプラチン(50mg/m2、21日毎に投与) の第II相試験では、わずか10% ( 20人中2人) の有効率でした11)。イフォスファミドの 第II相試験では、進行胸腺腫を持つ 13 人の患者さん中7人が著効 し、1人が有効でした12)。その他の併用化学療法についてはまだ研究中です13)。

  1. 手術前に行われる術前化学療法(neoadjuvant chemotherapy):2、3の研究は、臨床的に進行した患者さんの術前化学療法の使用について報告しています14),15)。 病期 IIIまたはIVaの16人の患者さんが、まず最初に ADOCによる化学療法で治療されました。全ての患者さんで、化学療法による臨床的効果を認めました。11人の患者さんが、病理学的に残存腫瘍があるため、手術後に放射線療法を受けました。この群全体の中央生存期間は66か月でありました14)。術前の化学療法を、この疾患における一般的な治療として薦める前に、その価値を確認するために更なる臨床試験が必要です。
  2. 切除不可能な腫瘍のための併用化学療法、および放射線療法。
  3. 他の臨床試験。

再発胸腺腫

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治療選択肢( 有効性の高い順に ):

標準:

  1. 特に局所再発例、また症例によっては胸膜および心膜への播種巣に対して、外科的切除を繰り返しなさい。手術後の放射線療法は、不完全切除に終わった患者さんに対する役割があり、再発胸腺腫で完全切除ができた患者さんの選択された方に行われます1)。
  2. 放射線療法 ( 可能ならば、つまり以前の治療による) 。
  3. 放射線療法に反応しなかった切除不可能な腫瘍に対してコルチコステロイド。

臨床評価中:

  1. 化学療法:充分な数の患者さんで化学療法の役割を評価した、第U相臨床試験は少ししかありません。しかし多剤併用化学療法は、著効または有効を達成することが報告されています。著効例のあるものは、引き続き行われた手術時に病理学的に確認されました。病期Wまたは放射線療法後の局所進行性の再発腫瘍を持った30人の患者さんにおいて、PAC療法 (シスプラチン、ドキソルビシン、サイクロホスファミド)は 3例の著効例を含む50%の有効率を示しました。有効期間の中央値は12か月で、5年生存率は32%でありました2)。ADOC療法 (ドキソルビシン、シスプラチン、ビンクリスチン、サイクロホスファミド)は43%の有効例を含めて、92%(37人中34人)の有効率を示しました3) 。シスプラチンとエトポシドの併用化学療法による研究では、 治療された16 人中 9人が有効で、中央有効期間は3.4年、中央生存期間は4.3年 でした4)

併用化学療法が単剤化学療法より効果的であるかどうかは確かではありません。前向き比較試験は行われていません。コルチコステロイドによる一過性の有効性が認められました。シスプラチン ( 50mg/m2、21日毎に投与) の第II相試験では、わずか10% ( 20人中2人) の有効率でした5)。プレドニゾンの使用の有無によらず、10 年間以上シスプラチンで治療された 17 人の患者さんのさかのぼり分析では、全体で64%の有効率を示しました6)。イフォスミド の 第II相試験では、進行胸腺腫を持つ 13 人の患者さん中7人が著効、1人が有効でした7)。

  1. 他の臨床試験。

重要:この情報は、主として医師、および他の医療従事者のためのものです。あなたがこの話題に関して質問をお持ちの場合、あなたの主治医に尋ねるか、1-800-4-CANCER ( 1-800-422-6237 ) で癌情報サービスまで電話してください。

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(2000.1改訂版 翻訳:栗原英明、監修:秋葉直志)